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2014 Fiscal Year Research-status Report

近代フランスにおける「公」と「私」の空間:文学、美術、建築の創造的発展

Research Project

Project/Area Number 26770122
Research InstitutionDokkyo University

Principal Investigator

福田 美雪(寺嶋美雪)  獨協大学, 外国語学部, 専任講師 (90632737)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2018-03-31
Keywords近代フランス文学 / 近代フランス絵画 / 近代フランス建築 / エミール・ゾラ / アンティミテ / オペラ
Outline of Annual Research Achievements

平成26年度は、主に19世紀フランスの文学と絵画、そして文学とオペラの結ぶ深い関係性について研究を進めた。
文学と絵画に関してだが、8月にフランス国立図書館にて研究調査を行い、約200点の文献に当たりながら19世紀に誕生した様々な視覚芸術・視覚文化の革新的技術(写真、リトグラフ、ポスター、幻灯など)を、文学者たちがどのように作品世界にとりこんだかを整理した。これまで主な研究対象としてきたエミール・ゾラの作品ではなく、ゴンクール兄弟、ユイスマンス、シャンフルーリの初期小説など、日本では一切既訳のない作品を重点的に調べ、写真やリトグラフの影響の普遍性を確認した。また、現在進めているフィリップ・アモンの研究書翻訳『イマジュリー:19世紀の文学とイマージュ』の第一章「暗室」を完成させることができた。
文学とオペラについては、パリ・オペラ座図書館を参照し、19世紀前半の主要なグランド・オペラのサル・ル・ペルティエにおける初演年代、上演期間を確認し、どのようなオペラ作品が19世紀の文学にレフェランスとして登場するのかを調査した。この結果、オペラ座の描写が単なる小説的装飾ではなく、登場人物の性格や運命を暗示する伏線としての機能を負うという現象は、パレ・ガルニエ(1875~)建造以降ではなく、サル・ル・ペルティエ全盛期、すなわちグランド・オペラの流行時から表れていることが確認された。
これらの成果は、日本フランス語フランス文学会における発表1本、および獨協大学「フランス文化研究」の査読論文一本という形で公表することができた。とくに「近代フランス文学におけるモニュメント―記憶・複製・再創造」と題したワークショップでは、パリ・オペラ座とゾラの作品を取り上げ、モニュメントをめぐる音楽的記憶の文学における再創造の問題を、他の研究者と共有することができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

19世紀文学と絵画、音楽が相互に結びつき、創造的発展を遂げたという現象を俯瞰的に確認することができた。ただし、文学と建築の結びつきに関しては、パリ・オペラ座というモニュメントの発展史を検証するにとどまり、その他の公的建築、さらには私的建築の発展史の調査までは達成することができなかった。
他方で、19世紀の視覚文化については、パトリシア・ファルギエール教授やロラン・バリドン教授など、必ずしも文学の専門家ではなく、近代フランスの視覚文化を社会学・文化人類学的アプローチから包括的に研究している研究者と接触し、文学に重点を置いた本研究には欠けていた視点を補うことができた。

Strategy for Future Research Activity

本研究の第一の軸である、「近代文学と絵画の創造的発展」についての研究をまとめたい。ただし、「絵画」と限定せずに、「視覚芸術」と視野を広げ、イマージュとテクスト、すなわち絵画・写真・リトグラフ・ポスター・幻灯・映像などの多岐にわたる視覚芸術と、小説・新聞記事・広告・パンフレット等の言語芸術の拮抗ないし融合の歴史をたどり、その関係性の変遷を総括することが必要になる。日本での文献調査には限界があるため、前年度と同じく、フランス国立図書館における資料調査が不可欠となるだろう。

Causes of Carryover

フランス語論文の校閲をネイティブに依頼する予定で謝金を確保していたが、結果的に日本語で執筆したため、謝金が不要となった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

次年度の繰り越し分は、物品費に繰り入れ、書籍代として使用する予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2015 2014

All Journal Article (1 results) Presentation (1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 19世紀小説に描かれるオペラ座の観劇風景―バルザックからゾラまで―2015

    • Author(s)
      福田(寺嶋)美雪
    • Journal Title

      フランス文化研究

      Volume: 46 Pages: 121-147

  • [Presentation] 近代フランス文学におけるモニュメント―記憶、複製、再創造2014

    • Author(s)
      福田(寺嶋)美雪
    • Organizer
      日本フランス語フランス文学会2014年度秋季大会
    • Place of Presentation
      広島大学
    • Year and Date
      2014-10-26
  • [Book] 教養のフランス近現代史(第2章「フランスの絵画」を担当)2015

    • Author(s)
      福田美雪(共著)、杉本淑彦、竹中幸史、津森圭一、角田奈歩、中山俊、長井伸仁、北河大次郎、岡部造史、八木尚子、剣持久木、上原良子、坂本尚志、渡辺和行、工藤晶人
    • Total Pages
      370(119-137)
    • Publisher
      ミネルヴァ書房

URL: 

Published: 2016-06-01  

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