2015 Fiscal Year Research-status Report
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26770132
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
McGee Dylan 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 准教授 (30622568)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 近世文学 / 出版文化 / 書誌学 / 貸本屋 / 大惣本 / 読書文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の資料調査が順調に進み、約1,650点の旧大惣本(近世名古屋の貸本屋、大惣の図書)を調査しました。主に国会図書館を拠点にして旧大惣本の所蔵印、表紙の柄、題箋や函架番号の紙片の寸法など精密な書誌学的データーを収集し、データーベース作成の作業を続けました。このだデーターをもとに大惣本の仕入れと修復の事情について明らかになったことが幾つかありました。その成果を論文「Book Refurbishment Practices of the Daiso Lending Library」(言語文化論集・第37巻・第1号)で発表し、さらに詳しいデーターを今年度中に、欧州日本研究学会で発表する予定となっています。大惣本の流通と享受に関しては、平出順益という近世名古屋出身の医者による日記を参考にして、大惣本の貸出について論文「平出順益の「代睡漫抄」から窺える抜粋抄録と大惣本の貸出」を発表しました。また、大惣を通して流通していた「猿猴庵本」について韓国日本言語文化学会秋季大会で口頭発表しました。この研究実績の他に、今年度中に著書の執筆も順調に進みました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の資料調査が順調に進み、約1,650点の旧大惣本(近世名古屋の貸本屋、大惣の図書)を調査しました。主に国会図書館を拠点にして旧大惣本の所蔵印、表紙の柄、題箋や函架番号の紙片の寸法など精密な書誌学的データーを収集し、データーベースへ入力しました。このだデーターをもとに大惣本の仕入れと流通について明らかになったことが幾つかありました。例えば、現時点では、表紙の柄を三十種類以上特定して、種類によっては当蔵書は何年に仕入れたか分かるようになりました。その成果を今年度、欧州日本研究学会で発表する予定です。また、同じ表紙を基に、大惣本の修復について論文を発表しました。著書の執筆も順調に進んでいます。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度、旧大惣本の調査を予定通りに終了し、データーベースの作成も終了します。研究成果を日本国内・国外の学術誌で発表し、著書の執筆も進める。最後は、「近世名古屋の読書文化」をテーマとして、近世日本文学・出版文化の専門の学者を名古屋大学へ招聘し、講演会を開催することを検討しています。
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Causes of Carryover |
来年度、研究学会での発表を三回以上予定し、それに調査を終了するために京都大学で三回、国会図書館で五回、筑波大学一回の調査を行うための旅費、また参考書の購入、コピー代や撮影費、フォート・クレジットの支出のために科研費が必要になります。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度、研究学会での発表を三回以上予定し、それに調査を終了するために京都大学で三回、国会図書館で五回、筑波大学一回の調査を行うための旅費、また参考書の購入、コピー代や撮影費、フォート・クレジットの支出を予定しています。
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