2014 Fiscal Year Research-status Report
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26770137
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
海老原 志穂 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (30511266)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 記述言語学 / チベット語方言学 / アムド方言 / 危機言語 (方言) / 少数民族 / 西部古方言 / 文法記述 / フィールドワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の業績は主に、a)中国およびインドにおける東西チベット語方言の現地調査、b)文献およびこれまで調査したデータを用いた比較言語学的な分析、そして、c)口頭・ポスター発表および論文の執筆、の三つにまとめることができる。a)に関しては、8月に中国青海省の純牧地域においてアムド方言の語彙調査を行い、3月には南インドのチベット難民居住地区において西部方言の語彙・音韻・文法に関する聞き取り調査を行った。b)については主に、代名詞や接辞・接語の形態音韻的な交替現象、さらに証拠性を表す形式に注目して比較研究を行った。c)の成果の内容は次の三点にまとめられる。1) 東西チベット語方言の記述研究、2)文献とチベット語各方言のデータを用いた比較研究、3) チベット文化・文学に関する一般向けの紹介である。1)に関しては、アムド方言の特徴の一つであるロゴフォリックな代名詞についての研究をまとめた。さらにアムド方言のうちのホワリ下位方言の語彙集の編集を進めた。2)に関しては、チベット語各方言における1人称代名詞包括形・除外形の区別の有無とその形に関するデータを言語地図上にプロットし、比較言語学的な観点から分析を行い、発表と論文執筆を行った。この現象を含めたいくつかの音韻・形態的特徴について方言周圏論の観点から考察をし、発表した。3)に関してはチベット現代文学の翻訳・解説の他、西部チベットの言語状況に関するエッセーの執筆を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたアムド、西部方言の語彙調査・文法記述を実施することができ、各チベット語方言資料の収集、論文・学会での発表を計画通りに遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も昨年度と同様、a)中国およびインドにおける東西チベット語方言の現地調査、b)文献およびこれまで調査したデータを用いた比較言語学的な分析、そして、c)発表および論文の執筆を進めていく。
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Causes of Carryover |
2014年12月から2015年1月にかけて一か月のブータン現地調査を予定しており、調査の準備を行っていたが、ブータンの政情変化により、事前に申請していたビザが発給されず、調査をキャンセルせざるをえなかった。したがって、この調査のために確保していた旅費が次年度へと繰り越された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度は、可能であれば、2014年度にキャンセルしたブータン現地調査を敢行したい。それが不可能な場合は、インド北部カシミール地方での現地調査を行い、その旅費に使用する。
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