2017 Fiscal Year Research-status Report
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26770137
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
海老原 志穂 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (30511266)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 記述言語学 / チベット語方言学 / アムド方言 / 西部古方言 / フィールドワーク / 危機言語(方言) |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、妊娠、入院、育児のため、研究期間の途中で研究活動を休止せざるをえず、2017年6月1日から2018年4月末まで育児休業を取得し、補助事業期間延長を申請した。そのため、現地調査、国内外の学会での発表は中止し、研究活動は論文の校正、執筆を主に行った。 論文校正に関しては、数年前からFive Levels of Clause Linkage: an Outline of the Theory and Methodologyに寄稿していた ‘Amdo Tibetan’ の校正を2017年4月から7月まで行い、2018年2月にDe Gruyter Mouton社から出版された。また、アムド・チベット語における民俗語彙であるヤクの分類語彙の研究を「アムド・チベット語におけるヤクの呼び分け―青海省ツェコ県の事例を中心に―」という論文としてまとめ、その論文が京都大学人文科学研究所共同研究プロジェクト「チベット・ヒマラヤ文明の継承と史的展開の学際的研究」の成果となる論集『チベット・ヒマラヤ文明の歴史的展開』として2018年3月に出版された。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所共同研究プロジェクト「青海チベット牧畜民の伝統文化とその変容~ドキュメンタリー言語学の手法に基づいて~」(2017-2019) の成果となる『チベット牧畜文化辞典』(パイロット版) の編集及び英訳を担当し、2018年3月に公開された。 論文執筆に関しては、参画していた東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所共同研究プロジェクト「アジア地理言語学」(2015-2017) で行った研究のまとめとなる論文 ‘‘‘Milk’’ in Asia’ の執筆を行った。本論文は、Studies in Asian Geolinguistics Vol. 8として出版予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、妊娠、入院、育児のため、研究期間途中で研究活動の休止を余儀なくされた。研究活動を休止したのは、切迫早産のため入院した2017年6月1日からである。入院時は妊娠7ヶ月であったが、出産までの3ヶ月間は入院が必要と診断されたため、研究の継続は困難と判断し、研究課題の「産前産後の休暇又は育児休業の取得に伴う補助事業期間延長」届けを提出し受理された。2017年1月に妊娠が判明したため、中国現地調査 (8月)、シンポジウムでの発表 (9月)、国内外の学術会議への参加など予定していた活動の一部を休止せざるをえなかった。 また入院中は長時間のパソコン作業が禁止されていたため、メールでの研究連絡、論文校正、論文閲読以外は行えず、上述のアムド方言参照文法の執筆、東西方言の言語特徴の比較に関する調査・分析結果のとりまとめの上で著しい支障が生じた。出産後1ヶ月となる2017年10月頃からは、自宅での論文校正、論文の閲読、メールでの研究討議など、今後の研究活動再開に向けて準備を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、2018年5月の研究課題の再開に向けて、研究活動を本格化させていく。 申請者の単著『アムド・チベット語文法』が2018年度の研究成果公開促進費交付内定を受けたため、2018年6月下旬の原稿提出までは校正に集中する。同書の例文確認のため、原稿提出までに現地調査を行う予定である。 2018年5月からは研究課題が再開となる。主たる研究目的である東西方言の比較・分析を進め、まとめとなる論文の執筆を行う (京都大学人文科学研究所共同研究プロジェクト「チベット文明の継承と史的展開の諸相」の成果となる概説書に収録予定)。必要に応じて現地調査も行う。本研究の成果をもとに、現地むけの言語教材作成も進めたい。
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Causes of Carryover |
本年度は、妊娠、入院、育児のため、途中で研究活動の休止せざるをえず、2017年6月1日から2018年4月末まで、研究課題の「産前産後の休暇又は育児休業の取得に伴う補助事業期間延長」を行ったため次年度使用が生じた。 次年度は現地調査、学会参加のための渡航、文献資料購入、現地向けの言語教材作成のために研究費を使用する予定である。
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