2014 Fiscal Year Research-status Report
Phonological representation of Japanese segments in theory and action
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26770141
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
PINTER Gabor 神戸大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (30580691)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 音韻論 / 音声認識 / 音韻表示 / phoneme representation / underspecification |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は日本語の子音の音韻表示を、音韻論、聴覚、自動音声認識の三側面から観察・記述し、この3分野で共通して使用できる音韻表示モデルを構築することを目指す。本年度は音韻論の観点からどのような表示がもっとも適切であるかという問題を取り上げ、研究発表会でその成果を確認した。 日本語の子音の音韻表示については様々な仮説が存在し、もっとも広く認められているアプローチについて東京のICU大学で行われた「日本語理論言語学会」(FAJL 7)で発表を行った。記述文法(Chomsky前の構造主義)、生成文法、不完全指定理論(underspecification)という3つの枠組みで提案された子音表示を音素配列論と歴史的な音韻変化の観点から比較した。結果として不完全指定性に基づいた表示が優秀であることが明らかになった。平成26年10月、ブダペストのカーロリ大学で行われた日本語学学会で同じテーマについて、具体的にチャ行の例を突き詰め、発表した。 本年度は来年度のテーマである聴覚と推理モデルの問題も同時に取り上げた。音声合成を使った聴覚実験を行い、聴覚データが推理モデル(ガウス混合モデル)でどこまでモデル化できるかについて考察した。中間結果について、別府で行われた「データベースと音声実験に基づく音韻知識の計量的・実証的研究」の研究会で、関西音韻論研究会(PAIK)で発表を行った。発表の内容を『神戸大学国際コミュニケーション論集』に論文の形でまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は日本語の子音の音韻表示を、音韻論、聴覚、自動音声認識の三側面から観察・記述し、この3分野で共通して使用できる音韻表示モデルを構築することを目指す。本年度は音韻論の観点からどのような表示がもっとも適切であるかという問題を取り上げた。研究の進行について二つの学会(「日本語理論言語学会7」、カーロリ大学の創立20周年記念学会)、その他に二つの研究会で発表した。今年度は論文投稿を予定していなかったが、研究の成果についての論文を査読なしの『神戸大学国際コミュニケーション論集』に投稿した。 日本語子音の音韻表示については論理的な考察は完全に終わったとは言えないが、日本語子音の表示についての参考文献をはば広くまとめ、様々な観点からそれらを比較できた。その結果本年度の目標が達成したといえる。更に、来年度のテーマである聴覚実験の準備と、推理モデルの作成まで研究が進み、計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
プロジェクト2年度は、日本語子音の表示の問題を音韻論以外の側面から扱うことを目標としている。その一歩として、人間による産出(発話)及び聴覚実験によって聴覚データを収集する。音素カテゴリーを区別するといった categorical perception のデータだけででなく、音声合成による曖昧な音に対する非カテゴリカルな聴覚データも収集するのが要点である。 次の課題として、人間の聴覚データをモデル化する統計モデル(自動音声認識のシステム)を構築する。ガウス混合モデルを始め、回帰分析、サポートベクターマシン、ニューラルネットに至って、さまざまな数理モデルが使用できるが、これらのモデルが特に非カテゴリカルナ聴覚データをどのくらい忠実に予測できるかは明確ではない。推理モデルの比較と評価は、研究2年度今度の研究問題となる。 数理モデルの問題と同時に、モデルの入力となる特徴量も配慮に入れる必要がある。MFCCやLPCなどといった自動音声認識で広く使われている尺度以外に、音声学などで使用されている尺度も様々に存在する(例、center of gravity、フォルマント値、フォルマント遷移)。これらの尺度と推理モデルの組み合わせを考察する必要がある。カテゴリカルな聴覚データはもちろん、非カテゴリカルなデータまで記述できる推理モデルが目標である。
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Causes of Carryover |
研究発表の旅費や、実験の人件費などにおいては、時期の影響、両替率の変動が影響するため、完全に予測できなく、計画した金額より3万ほどの研究費が残った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額の3万円を人件費および消耗品のために使用する予定である。
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