2014 Fiscal Year Research-status Report
音韻判断実験の方法論の確立: どのような実験手法が音韻知識の解明に最も有効か
Project/Area Number |
26770147
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
川原 繁人 慶應義塾大学, 言語文化研究所, 講師 (80718792)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / 音韻実験 / 福祉音声学 / EMA / 音響実験 / 連濁 / 実験方法論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では「どのような実験方法を使って音韻知識を解明していくべきか」という問題に取り組んでいる。まず、その第一段階として、日本語の音韻現象を例にとり、様々な実験をオンライン上で行った。その結果を比較することで、実験方法による音韻実験の結果の出方への影響を考察した。 例えば、連濁とライマンの法則を例にとり、5ポイントスケールで実験を行う場合と、強制二択式で実験を行う場合、どちらのほうがライマンの法則が検知されやすいかを実験的に分析したところ、後者の実験方法のほうがより有効であることがわかった。この結果はLanguage Sciencesに出版された論文で詳細に議論した。 また個々の実験のなかでも興味深い結果がでたものに関しては、論文として学術雑誌に投稿した。これらの論文は査読待ちである。 さらに、視野を広げて「実験が理論言語学についてどのような貢献ができるのか」という一般的な考察を行った。この考察は実験の方法だけにとどまらず、理論言語学と実験言語学の関係に関わる重大な問題である。この考察は東京言語研究所の招待公演で議論をし、またLinguistic Vanguardに出版された論文でも連濁を例にとって詳細に議論している。また、Oxford Bibliography Onlineへの招待論文の中で、Psycholinguistic methodology in phonological researchとして詳細に議論している。さらには国立国語研究所との共同プロジェクトで連濁に関する過去の実験に関する概観論文と理論に関する概観論文を執筆し、実験と理論の関係の考察を深めた。 最後に東京言語研究所の招待公演をもとに、岩波書店のサイエンスライブラリーから一般向けの言語学の本を出版する運びとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実験も順調に進んでおり、すでに多くの研究成果を出版できている。研究発表も順調に行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
このまま予定通り実験を続け、さらなる出版を目指す。また今年度は9月に慶應義塾大学において国際ワークショップを開催する。8月の国際音声学学会でも発表の予定が2件ある。
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Causes of Carryover |
基盤研究(B)の分担者として参加した別の科学研究費が採択されたため、予算が多少余った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は慶應義塾大学で国際ワークショップを開催する予定であり、多くの支出が見込まれる。また8月の国際音声学会でもワークショップを開催する予定である。
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