2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26770152
|
Research Institution | Chuogakuin University |
Principal Investigator |
王 振宇 中央学院大学, 商学部, 講師 (70532191)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 湘語 / 邵陽県方言 / 漢語方言 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究内容は中国湖南省邵陽県における方言調査、データの整理と分析、学会発表、論文執筆である。 (1)邵陽県岩口舗鎮でフィールドワークを実施した結果、これまで学界で知られざる存在であった「邵陽県平話」が発見された。この方言については次の3点を明らかにした。①現地の住民がこの方言を「平話」と呼ぶ。邵陽県境内における「平話」の報告が初めてである。②現在「邵陽県平話」を自由に操れる話者が主に70歳以上の高年者のみであり、消滅の危機が極めて高い方言である。③「邵陽県平話」の多くの音韻特徴は50㎞以上離れた東安県花橋郷の湘南土話にも同様に観察されており、両者のつながりが非常に濃厚だと考えられる。「邵陽県平話」に関する研究成果は国際学術会議(1回)と国内学会(1回)で発表し、学術雑誌に投稿した(3本、うち1本投稿中)。 (2)中国湖南省邵陽県西部の5地点(蔡橋郷、白倉鎮、金称市鎮、塘田市鎮、黄亭市鎮)に赴き、音韻、語彙、文法に関するフィールド調査を実施した。このうち、蔡橋郷は2007年に調査したことがあるため、補足調査であった。その他の4地点は調査票調査を通していずれも3000個あまりの単字音、1200あまりの語彙、100以上の文を録音の形で採集した。 (3)(2)のデータに対する整理と分析の作業を行い、最終報告書の分冊として『邵陽県西部5地点の方言調査報告書』の作成を進めている。 (4)理論的研究については、湘語方言のアスペクトに対する研究をさらに深め、論文を執筆した(2本、投稿中)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
方言データの採集は本研究における最重要な部分である。2014年度は計画通り、邵陽県西部の5つの地点、白倉鎮、金称市鎮、塘田市鎮、黄亭市鎮、蔡橋郷において豊富な方言データを採集することができた。現地での本調査を実施する前、1回の事前調査と綿密な電話連絡を通して現地の関係者より多大な調査協力を仰いだことは研究が順調に進展してきた最も大きな理由だと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
2015年度は次の諸点に重点を置きながら、研究を進めていく。 (1)邵陽県の東部の4地点(塘渡口鎮、九公橋鎮、諸葛亭鎮、五峰舗鎮)に赴き、西部の調査と同じ調査票を用いてフィールド調査を行う。 (2)(1)のデータを整理、分析し、最終報告書の分冊として『邵陽県東部4地点の方言調査報告書』を作成する。 (3)前述した消滅の危機に瀕している「邵陽県平話」については、さらなる詳細なデータを得るために、邵陽県の岩口舗鎮と長揚舗鎮に赴き、語彙、文法を中心にフィールド調査を行う。この方言の話者が現在非常に少なくなっており、理想なインフォーマントを得られるか否かは今回調査の鍵である。そのため、事前に現地の村委員会に連絡し、方言話者探しを依頼するのが必要である。 (4)以上の調査結果を分析し、論文執筆や学会発表に取り組む。その際、長年中国で湘語方言の研究に携わってきた中国の研究者(主に湖南省各大学の研究者)からの意見や指摘が極めて重要だと考える。したがって、海外の学術雑誌への投稿や国際学術会議に積極的に参加し、中国の研究者との意見交換、情報交換を予定している。
|
Causes of Carryover |
購入予定の図書が完売されて入手できなくなったため、次年度使用額(29,947円)が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は中国湖南省邵陽県東部4地点の方言、および危機方言の「邵陽県平話」についてフィールド調査を行う予定がある。また、研究成果を発表するために国際会議3回、国内学会2回を予定している。したがって、平成27年度の研究費は主に海外旅費、国内旅費、図書・物品購入費、人件費、謝金などとして使用する予定である。
|