2014 Fiscal Year Research-status Report
動詞の交替現象に課せられる制約の理論的・実証的研究
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26770168
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
椙本 顕士 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (90712274)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 動詞句削除と心理動詞の交替形 / 移動様態動詞の統語的分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に、移動様態を意味する動詞の交替現象を研究対象とし、Reinhart (2002) が提唱するtheta system approachの枠組みの中でどこまで妥当な説明を与えることができるのか整理した。 第二に、同現象を研究対象とし、Folli and Harley (2005, 2006)が提唱するconstructionist approachの枠組みの中でどこまで妥当な説明を与えることができるのか検討した。この研究の成果は、日本英語学会第31回大会にて、発表され、JELS 31にて、 "A Syntactic Approach to the Induced Action Alternation"というタイトルの論文として掲載された。第一と第二の研究の意義は、各枠組みの説明の射程を特定することであり、今回比較検討することにより、現段階では後者の枠組みの方がより広範な、かつ妥当な説明がなされることが明らかになった。 第三に、心理動詞の3つの交替形を用いて、これらの交替形が動詞句の削除現象の観点からどのような構造を持つのか検討した。この研究の成果は、日本英語学会第32回大会にて発表され、JELS32にて、"An Argument Styructure Alternation of Psych Verbs under VP-Deletion"というタイトルの論文として掲載された。第三の研究の意義は、削除現象の観点から支持される統語構造が、theta system approachとconstructionalist approachのどちらのアプローチを取るべきであるのかの一つの手がかりになることである。現段階では後者のアプローチと整合することを明らかにした。前者のアプローチと整合するかどうかは次年度の研究に引き継ぐことにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
移動様態を意味する動詞の交替現象の分析はほぼ順調に進んでいた。しかし、研究に「削除」という新たな言語現象の視点を取り入れて分析した結果、心理動詞に関しては、基本的には予測していた通りの結果が得られたが、新しい事実もでてきた。この結果、この新しい事実をどのように今後検討していくのかという問題が生じた。また、移動様態を意味する動詞についても、削除の観点からどのような統語構造が支持されるのか検討する必要性がでてきた。従って、当初は初年度にデータをまとめあげる所まで計画していたが、新たな事実が得られ、研究の幅が広がったために、若干研究が遅れている状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には研究計画通りに進める。ただし現在までの達成度にも書いた通り、新たな事実が生じ、また他の動詞類についても、削除の観点から分析し、データを集める必要がでてきたので、まずはこれらを検討する。次にデータをまとめあげ、理論の構築・修正に取りかかる。
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Causes of Carryover |
文献(洋書)の納入が当該年度内に間に合いそうになく次年度に繰り越すことにしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画通り、文献(和書・洋書)の購入、印刷代、資料収集、学会発表等の旅費にあてる。
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