2016 Fiscal Year Research-status Report
地域のネットワークを活用した実践的な日本語教育プログラムの構築
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26770176
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
中川 祐治 福島大学, 人間発達文化学類, 准教授 (70352424)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地域日本語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、地域に暮らす外国人住民に対する実践的日本語教育プログラムを構築することにある。これまで各地域の日本語ボランティア教室で行われてきた日本語支援活動を、地域のネットワークをもとに、より発展させ充実させた実践的プログラムの作成を目指すもので、本年度は、実践的活動を試行した。 実際には、福島県内の4教室において、地域を素材とした動画作成の活動の実践を行った。その際、学習者と支援者が協働して、素材選び、おしゃべり活動、ナレーション原稿の作成、ナレーション入れ等の一連の活動を行うことで、結果として、非対称的な、対等な関係性による日本語活動を具現化することができた。また、支援者へのふり返りを行い、通常の教室型日本語支援活動では見ることのできなかった、生活者としての学習者の姿や、自分のことを知ってもらいたい、話したいという高い動機付けにもとづく活動の有効性が確認された。さらに、今回の活動では、通常の支援者だけでなく研究者や大学生が参画することによって、社会的な広がりが認められるものとなり、社会型日本語教育への展開が期待されるものとなった。その成果は、研究論文「「地域」を活かした動画作成活動の実践」(『福島大学地域創造』28-2)としてまとめた。 また、地域で活動する日本語支援者の省察に関する研究を進め、ふり返りの記録の記述を言語データとして分析を行った。その成果は、研究論文「地域の日本語学習支援活動における支援者の省察」(『福島大学地域創造』28-1)としてまとめた。そこでは、支援者のふり返りには、「指導」「一人ひとりの学習者」「学びの共同体」「学びの保証」「地域の日本語教室の諸条件」といった5つのカテゴリーを確認することができた。これは、従来、埋もれがちであったふり返りの記録を、省察のツールとして活用できることを示すものであり、その有効性を明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の中心的課題である、地域の日本語支援活動のための教材化に向けての試行を重ね、その有効性について確認することができた。また、あわせて、支援者のふり返りの記録に関する分析を進め、省察の観点の概念化、モデル化を行うこともできた。以上の理由から、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は最終年度となるため、実践的日本語教育プログラムの構築と、具体的な地域の日本語支援活動の教材化を進める。28年度で作成を試みた動画をもとに、それを日本語教材として完成させる。完成された教材はWEB上で公開する予定である。
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Research Products
(3 results)