2017 Fiscal Year Research-status Report
地域のネットワークを活用した実践的な日本語教育プログラムの構築
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26770176
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
中川 祐治 福島大学, 人間発達文化学類, 准教授 (70352424)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地域日本語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、地域に暮らす外国人住民に対する実践的日本語教育プログラムを構築することにある。これまで各地域の日本語ボランティア教室で行われてきた日本語支援活動を、地域のネットワークをもとに、より発展させ充実させた実践的プログラムの作成を目指すもので、本年度は、実践的活動から収集した素材をもとに教材化への取り組みを進めた。実際には、昨年度までの動画制作活動で得た動画とその音声をもとに、スクリプトの作成とナレーション入れ、および初中級向けの教材とするための改変作業を行った。 また、地域で活動する日本語支援者の具体的活動の収集とその分析に関する研究を進め、ふり返りシートとそれに基づくインタビューを行い、インタビューから得たデータを質的データとして分析を行った。その成果の一部は、異文化間教育学会第38回大会・特定課題研究「異文化間能力を生かす―実践に向けて―」の中で、地域日本語教育の観点から発表を行った。また、研究論文「地域日本語教育が育む異文化間能力―対話を通じて―」(『異文化間教育』47)としてまとめた。ここでは、地域日本語教育の文脈における支援者と被支援者との間に見られた映画作成にまつわるエピソードをもとに、支援者が「状況との対話」「他者との対話」といった二重の対話(「文脈との対話」)を重ねることによって、地域日本語教育の場においても異文化間能力が育まれ得ることを示した。また、その際に核となる省察性についても明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動画作成の活動とそれに基づく教材作成、および個々の支援者の具体的な活動の収集、分析については、一定の進展、成果があり、おおむね順調に進んでいると言える。その一方で、当初の計画では平成29年度までに終了する予定であった、本研究課題の最終工程にあたる教材作成(ウェブサイトの作成)が遅れ、研究全体の進捗状況としてはやや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の最終年度にあたることから、地域の素材とネットワークを生かした地域日本語教育の教材を作成し、ウェブサイト上に公開する。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況に遅れが生じたため、研究期間の延長を行った。その結果、最終年度が30年度にずれ込むこととなり、成果物である地域の日本語教材作成にかかる費用も繰り越す必要が生じ、そのための措置をとったため。
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