2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26770177
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
佐藤 真紀 東北学院大学, 教養学部, 講師 (60589711)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 年少者日本語教育 / 言語少数派の子ども / 母語保持育成 / 教科・母語・日本語相互育成学習 / 学校 / 地域 / 教員養成 / ボランティア |
Outline of Annual Research Achievements |
文部科学省が「日本語指導が必要な児童生徒への『特別の教育課程』による日本語指導」を交付し、平成26年度より施行が始まった。これは、当該児童生徒の日本語の能力を高める指導のみならず,当該児童生徒の日本語の能力に応じて行う各教科等の指導も含むものであることが目指されており、指導者は児童生徒の実態の把握,指導計画の作成,日本語指導及び学習評価を担うものとされている。これは、枠組みは決まっているが、その内容は各教育現場が独自に作成していなければならないものであり、関わる指導者の担う部分が大きいと言える。 そこで、本研究では、このような指導に関わる教員の養成を念頭におき、実際に児童生徒への学習支援プロジェクトに関わることで、教員志望の学生にどのような資質が得られるかを探っていく。なお、特徴として、日本語指導のみに特化せずに母語指導を視野に入れた学習支援を行う。言語少数派の子どもにとって、母語と日本語の二言語を十分に発達させることの意義は多くの知見が示している通りである。しかしながら、具体的に二言語育成を実践にうつしている教育現場は少ない。これらを踏まえ、本研究では、具体的に、日本語指導が必要な子どもが在籍する公立中学校をフィールドとし、地域のボランティア団体に所属している教員志望の学生と中学校で日本語学級を担当する教員が協働し、母語を活用した学習支援(具体的には「教科・母語・日本語相互育成学習モデル」をとりいれた学習支援)のプロジェクトを継続的に行っていく。プロジェクトの計画・課題特定・課題解決・評価という一連のプロセスを通して、参加者がいかなる資質を獲得していくかを追及し、母語を活かした指導を目指す教員養成モデルの構築を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、ある公立中学校をフィールドに、日本語学級担当教員と地域ボランティアが協働し、言語少数派の子どもへの学習支援プロジェクトを行う。そのプロジェクトに日本語教員や学校教員を志す学生がボランティアとして関わることで、どのような成果があるかを検証し、教員養成のあり方を追究していくものである。しかしながら、2015年度末に、中学校の日本語学級担当教員の予期せぬ異動があり(3名中中心メンバーの2名が異動し、新たに日本語学級に初めて関わる教員が配置された)、これまで共に当該プロジェクトを進めていた教員構成が2016年度は大きく変わるという事体が生じた。また、研究代表者の本務校での業務が急激に増えたことから、コンスタントなデータ収集が難しくなるという事体が生じた。そこで、2016年度は、経験豊富なボランティアによる学習支援等のみを継続して行うこととし、新規のデータ収集や分析、予定していた研究発表等を見合わせることとなった。その間、プロジェクトのあり方を見直し、新規体制で再開するための教材作成等の準備を進めた。これらの状況を総合的に判断し、当初の計画より進捗状況がやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
1)昨年度のプロジェクト見直しを受け、新たに参加する子どもに対する学習支援を行い、継続して学習支援場面のデータを収集する。また、新たに参加するボランティアへの意識調査を行い、その変容を見る。これらの新規データの収集に加え、これまで収集したデータの分析を進め、年内に開かれる研究会で発表する予定である。 2)本研究採択後の2年目に研究代表者が異動になり、拠点が東京から仙台になったが、研究協力校・研究協力者は変わらないため、フィールドを変えずにプロジェクトを継続して行っていく。
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Causes of Carryover |
本研究プロジェクトの中心的協力者であった、中学校の日本語学級担当教員の予期せぬ異動があり、言語少数派の子どもの指導に全く関わったことがない教員が2名、新たに配置されたことから、当該プロジェクトを継続して行うことが難しくなった。また、研究代表者の本務校での業務が急激に増えたことから、コンスタントなデータ収集が難しくなるという事体もあわせて生じた。そこで、2016年度は、経験豊富なボランティアによる学習支援等のみを継続して行うこととし、新規のデータ収集や分析、予定していた研究発表等を見合わせることとなった。そのため、計画していた通りの予算使用にはならなかった。しかし、その間にプロジェクトのあり方を見直し、新規体制で再開するための教材作成等の準備を進めたため、その翻訳者に対する謝金に費用をあてた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、研究の集大成の年度として、これまでの研究成果をまとめ、発表を行う予定である。そのため、主に、これまで収集した資料の整理及び文字化作業に対する人件費・謝金に費用を使用する。また、学習支援およびプロジェクトの打ち合わせのため、研究代表者が、仙台から東京のフィールドに通うための旅費や、研究発表に参加するための旅費にも使用する。
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