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2015 Fiscal Year Research-status Report

日本語教師養成を前提としない大学教養科目としての日本語教育学プログラムの開発

Research Project

Project/Area Number 26770185
Research InstitutionWaseda University

Principal Investigator

鈴木 寿子  早稲田大学, 付置研究所, 招聘研究員 (00598071)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywords対話 / グローバル化 / 日本語教育 / 教師養成 / ロールレタリング / 言語生態学 / 協働 / 実践知
Outline of Annual Research Achievements

【研究目的】本研究は≪大学生のための持続可能性教育としての日本語教育学プログラム≫の開発を目的としている。本年度は①プログラムにおける具体的な活動案の提案と②日本語教師の自律研修のプログラム検討を行った。
【研究方法】本年度は自己カウンセリング法として開発された「ロールレタリング」を、異なる教育活動に応用することを試みた。①プログラムにおける具体的な活動案の提案では、早稲田大学で平成27年度に開講した学部生対象の日本語教育副専攻科目「言語生態学入門」(春学期、14名履修)および「グローバル化社会と日本語教育」(秋学期、47名履修)で実施した。2科目の授業においてロールレタリングを応用した活動案を策定して実施、学生からのフィードバックを得た。②日本語教師の自律研修のプログラム検討では、筆者を含む3名の日本語教師が平成24年から定期的に自主的で自律的な研修を模索している。本年度はロールレタリングを用いた日本語教師の実践知の言語化を調査した。
【研究成果】①プログラムにおける具体的な活動案の提案では、グローバル化社会に生起している出来事を多様な人の立場で理解する試みにおいて、ロールレタリングを用いた。ドキュメンタリー番組を視聴した後、登場人物に宛てて手紙を書き、その人物になり替わって返信を書く活動において、学生は自己の経験と重ね合わせながら登場人物の立場に共感し、グローバル化社会が当事者の立場によって見え方や影響が違うことの理解を示した。②日本語教師の自律研修のプログラム検討では、3名の日本語教師のうち1名(A)が抱える問題をめぐって、Aにあてて手紙を書き、またAの立場で返信を書き、対話を行う活動を行った。その結果、3名の対話の中で日常の教育実践においてはその機会が得られにくい価値観や実践知が可視化されたことが明らかになった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は研究目的全体の【本実践】の年度と位置付けている。前年度の平成26年度に試行した実践をブラッシュアップした実践を半期の授業で実践し、学生からのフィードバックも得たことにより、本研究全体で目指す≪大学生のための持続可能性教育としての日本語教育学プログラム≫の全体が形作られた。この点から、本研究はおおむね順調に進展していると結論付けることができる。
また、「9.研究実績の概要」で述べた通り、本研究では日本語教師の自律研修のプログラム検討も合わせて進展している。これは従来の日本語教師研修で展開されていた、教育技術のブラッシュアップ研修に代表される技能研修とは異なる、日本語教師の全人的成長を後押しするための自主・自律型教師研修である。本研究では主たる研究として、大学生を対象とした研究と、副次的な研究として現役日本語教師を対象とする研究を行っていることになる。このように多層的な研究の構造になっていることは、プログラム全体を多面的・包括的に捉える一助となる。特に最終年度に本研究を総括する際に、総合的に本プログラムが日本語教育に与えるインパクトの考察において示唆を与えると考えている。

Strategy for Future Research Activity

1.本年度実施した実践に対する分析の継続
本年度の主たるフィールドであった早稲田大学学部生対象の日本語教育副専攻科目「言語生態学入門」において4名、および「グローバル化社会と日本語教育」において8名のインタビューデータを得ている。このインタビューデータの精緻な分析を行う予定である。またインタビューデータに合わせ、当該学生が授業時に書いたふり返りシートや事前課題などの分析も合わせて行い、活動や教材の有効性を検討していく。
2.次年度の実践に関する方策
次年度は、本研究3か年の成果を総括的な形で公表する年度として、本年度実施した「言語生態学入門」「グローバル化社会と日本語教育」の授業実践を他の教育機関等でも実施可能な形で提示する。具体的な教材、授業における用い方、授業運営上の留意点などの点でまとめる。

Causes of Carryover

主に前年度未使用額の発生から、次年度使用額が生じた。これは、研究発表先の変更や所属機関における学会出張補助費の使用により、旅費支出計画が変更となったこと、および、インタビュー協力依頼者の都合によりデータ収集の数量に変化が生じたことなどによる。

Expenditure Plan for Carryover Budget

1.データ整理・分析のための経費:これまでに収集した音声データや文字化資料を適切にファイリングし、分析するための機材などの使途を予定している。
2.データ開示のための経費:これまでの研究結果を開示するための印刷経費などを計上している。

  • Research Products

    (5 results)

All 2016 2015

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 自律的教師研修としての対話的問題提起学習-協働による教師の実践知の語りに着目して-2016

    • Author(s)
      小浦方理恵・鈴木寿子・唐澤麻里
    • Journal Title

      麗澤大学紀要

      Volume: 99 Pages: 25-34

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 日本語教育副専攻科目における受講生の学び―グローバル化社会における「自己」と「ことば」への理解を深めるための活動―2016

    • Author(s)
      鈴木寿子・トンプソン美恵子
    • Organizer
      大学教育研究フォーラム
    • Place of Presentation
      京都大学
    • Year and Date
      2016-03-16
  • [Presentation] 日本語教育副専攻科目で何ができるか―自己の言語使用を見つめなおす2015

    • Author(s)
      トンプソン美恵子・鈴木寿子
    • Organizer
      早稲田大学日本語教育学会
    • Place of Presentation
      早稲田大学
    • Year and Date
      2015-09-13
  • [Presentation] 日本語教師間のロールレタリングの実践―協働による教師研修デザインを目指して―2015

    • Author(s)
      小浦方理恵・鈴木寿子・唐澤麻里
    • Organizer
      協働実践研究会
    • Place of Presentation
      チュラーロンコーン大学
    • Year and Date
      2015-09-05
    • Int'l Joint Research
  • [Book] 第2部第10章「比喩に込められた認識や信念、その変容を探究する―「共生日本語教育」をめぐる比喩生成課題とトライアンギュレーション」― pp.201-220.『日本語教育のための質的研究入門―学習・教師・教室をいかに描くか―』2015

    • Author(s)
      舘岡洋子(編)鈴木寿子
    • Total Pages
      393
    • Publisher
      ココ出版

URL: 

Published: 2017-01-06  

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