2015 Fiscal Year Research-status Report
新しい英文読解テスト開発に向けた基礎的研究:字義的理解を超えた深い内容理解の測定
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26770188
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
高木 修一 福島大学, 人間発達文化学類, 准教授 (20707773)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 教育評価 / 心理言語学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は新しい英文読解テスト開発に向けた研究基盤を構築するため、字義的な理解を超えた深い理解を測定するテストの作成とその妥当性検証を行うことであった。本年度の研究実績は大きく2つに分けられる。1点目は実験デザインの確定、2点目は関連する研究の進捗である。 1点目の実験デザインの確定についてである。英語リーディング研究および言語テスト学の研究成果の調査に基づき、本研究の根幹をなすイベント索引化モデルの仮定する5次元の理解を測定する方法として、要約課題を初めとした複数の手法を援用することとした。この主な理由として、本研究が提案するイベント索引化モデルに基づく深い理解の測定方法と、字義的な理解や従来の研究における「深い理解」の測定方法との比較が容易に行えることが挙げられる。また、次年度の早い段階で実験を実施できるよう、マテリアルの選定などに着手した。 2点目の関連する研究の進捗についてであるが、本研究の基盤となるイベント索引化モデルに基づく日本人英語学習者の読解メカニズムについても検証を行った。実験協力者の英語読解熟達度にもよるが、日本人英語学習者にとって字義的な理解が難しい場合、イベント索引化モデルが仮定する5次元の理解の段階に達することができないということが実証された。当該研究においては、英文テキストを2回読ませることで字義的な理解にかかる認知的負担を補うことによって、イベント索引化モデルに基づく5次元の理解の影響が見られるようになっていた。このことから、マテリアルや協力者を選定する際に、英文の難易度や協力者の英語読解熟達度に一層慎重にならなくてはならないと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験の方法論については研究計画書から大きく方向性が異なることが明らかになったが、もともと本実験を行うのは3年目までに予定であった。今後の研究の基盤となる関連した研究の進捗に基づいて、本実験の方向性が具体的に定まりつつあることから、研究の進捗自体はおおむね順調だと判断している。来年度の前半に実験を行い、その成果に基づいて確実に研究を進捗させていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは実験方法が定まった実験を早急に実施する。実験結果の採点に必要な実験協力者や実験補助者については、現時点で内諾が得られている。また、実験結果に基づく今後の研究方針も固まりつつあるため、関連した研究と併せて着実に研究の進捗を行っていく。
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