2014 Fiscal Year Research-status Report
統語論インターフェイスに基づく前置詞習得のむずかしさの原因究明
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26770195
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
藤森 敦之 静岡大学, 大学教育センター, 講師 (80626565)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 前置詞のむずかしさ / 統語的随意性 / 統語的位置の曖昧さ / 二項および三項動詞 / 位置前置詞の意味素性 / アニメーション動画の効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
前置詞の統語的随意性の習得について、出来事終結性の点から検証した。動詞句主要部の自動詞と比べ、付加詞である前置詞の終結性を理解するには時間を要する(藤森・近藤2012)。前置詞が表す終結性は動詞のものより習得が遅いという仮説を更に検証するため、藤森(2014, 2015a)では他の動詞タイプ(二項および三項動詞)を用いて、初中級英語学習者を対象とした心理言語学的な実験(知覚および産出タスク)を行った。予測通り、前置詞が付加詞の場合、項の場合より理解度が下がることが示された。加えて、前置詞の統語的位置の曖昧さもむずかしさの一因であることが明らかになった。 実験では意味刺激の曖昧さを排除するため、アニメーション動画を使用したが、動画自体が抽象的概念をより具体化し、学習を促進することも別の実験で示した。藤森(2015b)では位置前置詞(over, above等)に焦点を当て、初中級英語学習者の理解度を調査した結果、知覚と産出のポストテストにおいて、アニメーション指導グループが和訳指導グループより正確に前置詞を使用できるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に沿って、前置詞の統語的・語彙的側面の習得研究を進め、口頭発表1本、論文執筆2本を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
主に前置詞の統語的ステータスの曖昧さと習得との関係について追求する。前置詞の統語的なステータスについては、全て機能範疇であるとする立場(Baker, 2003; Svenonius, 2010)―強い統語論仮説―と形態的に単純な前置詞(in, at, on)は機能範疇で、複雑な前置詞(onto, in front of) は語彙的範疇とする立場(Dechaine, 2005; Cinque, 2010)―弱い統語論仮説―がある。第2言語習得において、学習者が形態と意味との関係に敏感であるかを検証するため、形態的に単純な前置詞と複雑な前置詞両方を含んだ認知および産出タスクを行う。あわせて、どのタイプの前置詞がどのレベルの英語学習者にとってむずかしいのかについて検証するため、異なるレベルの英語学習者を対象として、調査を行う。調査対象は主に大学学部生とし、TOEICやTOEFLといった英語テストのスコアをもとに客観的なレベル分けを行う。 平行して、中学校教科書の前置詞出現頻度を調査し、出現頻度とむずかしさの関係についても検証する。
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Research Products
(3 results)