2014 Fiscal Year Research-status Report
英語における非顕在要素を含む構文の効果的指導法-構文横断的・言語横断的視点から
Project/Area Number |
26770198
|
Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
桃生 朋子 目白大学, 外国語学部, 客員研究員 (30585807)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 非顕在要素 / 英語学習者 / 有標性の理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
Kate washed the car carefully. But John didn’t. に例示される非顕在要素を含む構文に対し、英語学習者が文法的解釈を付与することは困難である。 本研究では、A 非顕在要素がもつ解釈は、どのような言語理論上の計算のもと付与されるのか、B 学習者が起こす誤りの原因は、転移によるものか、有標性の理論によるものか、C 学習段階により誤りを起こす原因は異なるのか、の3つの課題に答えることで、D 英語における非顕在要素を含む構文の効果的指導法を開発することを目的としている。 平成26年度は上記A~Dのうち主にB、Cに取り組んだ。韓国語、または中国語を母語とする英語(かつ日本語)学習者を対象に、英語(または日本語)における非顕在要素を含む文の解釈について実験を行った。その結果、学習者が起こす誤りの原因は有標性の理論によること、さらに学習段階により転移が起こることがわかり、学習者の母語に応じた習得の過程の一部が明らかになった。実験結果の一部はMonou and Kawahara(査読中)にまとめた。その後結果を精査する中で、新たな仮説を提示した。その仮説とは、日本語や英語、そして韓国語や中国語における「非顕在要素」の性質が異なり、学習者が有している母語知識も異なる可能性があること、である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
英語における非顕在要素の解釈に関しては考察を得られるだけの実験を行うことができず、上記課題Dに関して、具体的成果が挙げられていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
(平成27年3月1日~平成28年3月31日まで産後休暇及び育児休業を頂き、平成28年4月1日より研究再開の予定である。) 次年度以降は、上記の新たな仮説を軸に、研究のさらなる発展を試みたい。まずはそれぞれの言語における非顕在要素がどのような派生に基づき解釈を付与されるのかを精査し、言語間の違いを理論的観点から明確化する。言語間の違いを明確化することは、各々の学習者が有している母語知識の違いをも明確化することへと繋がる。従って、学習対象言語における非顕在要素の習得についてもさらに詳細な習得過程を予測することが可能となる。その予測に応じて、B、C、Dについても再検討が必要となる。 また次の段階では、習得に関わる要因、さらにそれらが作用する学習段階を整理する。その際、日本語に限らず、韓国語または中国語を母語とする英語学習者も被験者とすることで、言語横断的考察を行う。そのことにより、どの段階において、どの言語を母語とする学習者には、どのような指導が最も効果的か、といった教授に関わる3つの問いに答えることが可能となる。
|
Causes of Carryover |
妊娠に伴う体調不良のため
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たに提示された仮説を理論的に検証するため、文献を購入する必要がある。また実験的検証も行うことから、被験者に対する謝金が発生する。それらの成果を国内学会で発表するため、旅費が生じる。
|