2015 Fiscal Year Annual Research Report
日本人英語習者のL2自己が自己調整学習行動に及ぼす影響の調査研究
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26770203
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Research Institution | Shizuoka Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
今野 勝幸 静岡理工科大学, 総合情報学部, 講師 (00636970)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 動機づけ / 内発的動機づけ / L2自己 / 自己調整学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、動機づけと自己調整学習行動の関係性を詳細に検証するために、インタビュー調査を行った。調査の対象者は大学2年生14名である。1時間程度の個別の面談を通して、1)英語の学習理由、2)英語は好きか、3)将来英語を使ってみたいか、4)普段の英語の学習の様子の4点を尋ねた。 英語の学習理由については、「授業だから」や「成績のため」のような極めて外発的な理由と、「将来必要だから」、「楽しいから」、「好きだから」という比較的内発的で英語学習に好意的な理由が学習者の中に混在していることが分かった。しかし、内発的・好意的な理由を明言する学習者ほど、努力の度合いも強く、自己調整学習について明確に言語化できる傾向にあった。 また、内発的な理由の促進や英語学習への好意的な態度を持てるかどうかには、それまでの学習経験が重要であることが示された。特に、1)授業・教師要因、2)英語の使用・接触経験、3)失敗体験、4)趣味と関連性、の4つが動機づけに関わる経験要因として明らかとなった。特に1)が顕著であり、学生の目線に立った英語の授業の必要性が示された。 一方、L2理想自己に関連する英語学習理由を挙げた学生は稀であった。しかし、将来の英語の使用場面を具体的に説明できた学生を比較すると、2)英語の使用・接触経験が豊富な学生ほど、自己調整学習が詳細かつ豊富であり、自主的な英語学習の頻度が高いことが明らかになった。 上記の結果から、例えば、授業に関連するような直近の学習への動機づけには、内発的動機づけや英語学習への好意的な態度が重要な役割を果たすことが示された。一方、L2理想自己は、授業の枠を超えた英語学習への動機づけに大きな役割を果たす可能性が示された。しかし、L2理想自己が動機づけ要因として機能するまでには、適切な英語使用経験と学習環境が必要であるなど、様々な条件が満たされる必要があると言える。
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Research Products
(2 results)