2014 Fiscal Year Research-status Report
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26770211
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| Research Institution | Okinawa International University |
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Principal Investigator |
山田 浩世 沖縄国際大学, 地域文化研究科, 研究員 (00626046)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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| Keywords | 琉球 / 身分制 / 流動性 / 身分変更 / 身分内移動 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本・中国という大国に従属しつつ「小国」として独自の国家運営を進めた琉球について、対外的な政策を実施する琉球の官僚制を支えていた身分制に着目するものである。とりわけ、従来の身分論における「固定的」な枠組み認識では十分に説明がなされてこなかった流動的身分層の人々を検討の対象として取り上げた。身分制の構造的特徴及び身分間または身分内を上昇・下降する人々の生き様を通じて、琉球の身分制が柔軟な運用実態を伴って「小国」琉球の運営に結びついていたことを明らかにしようとするものである。また、近似した歴史背景を持つ奄美における身分のありようや中国・日本における身分の問題を比較の対象とすることで、東アジア世界における琉球の特質を明らかにしようとするものでもある。
初年度では、史料調査を進め問題の把握を進めるとともに、身分制の構造的特質や流動的身分層の実態に関わる問題を在地研究者の協力を仰ぎながら議論することで試論の検証、視点の確立、問題理解への深化を目指した。史料調査では、主に『尚家文書』（那覇市歴史博物館所蔵）、宮古・八重山系家譜などの閲覧・収集を進め、どのように人々が身分制社会を生きていたのかを検討した。また、「琉球身分制研究報告会」（以下、報告会）を組織し、第一回（2014年6月28日、於沖縄県立博物館・美術館）、第二回（2014年9月15日、於大濱信泉記念館）をそれぞれ沖縄島と石垣島で開催した。報告会では、琉球における身分変更に王府への貢献（「国用」）が深く関わっていること、一方で宮古・八重山と沖縄島の身分制の間には身分間を行き来する「流動性」の差異が存在することなどが試論として明らかとなり、琉球の身分制全体の構造やその実態を身分内または身分間を行き来する人々から描き出すことの有効性が明らかとなった。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、史料調査及び研究会の組織による成果報告や議論の深化を通じて、従来の身分論では捉えきれない流動的な身分のありようを明らかにすることを目指した。
まず、初年度では沖縄島と石垣島で地元研究者などの協力を得て「琉球身分制研究報告会」が実施でき、非常に多くの研究者の参加を得てさまざまな制度・運用的実態、視点の有効性について活発な討議が行われた。合計10本の研究報告がなされ、従来の身分論では回収されていなかった人々の存在やその事例が持つ問題の広がりが明らかとなった。
一方、史料調査については、対象としていた「尚家文書」や宮古・八重山系家譜の収集が進んだものの、当初計画の久米島での調査が実施できず次年度に繰り上げとなった。
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| Strategy for Future Research Activity |
本年度の史料調査については、前年度に残された課題を含め引き続き進め、身分制を議論する上での基礎的な史料の把握・拡充につとめる。
また、昨年度実施した「琉球身分制研究報告会」を本年度も引き続き行い、より具体的な検討を進める。第一回、第二回で明らかとなった問題についてより具体的に検討を進めることで、近世期の琉球社会を規定した身分制の構造を捉えるための新たな視点の確立を計っていく。特に運用面での柔軟性を「流動的」な身分層から描くことで、琉球社会がもっていた特質を明らかにしていくこと、その視点の可能性について検討を進める。
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| Causes of Carryover |
初年度に計画していた久米島調査が実施できなかったため、旅費及び史料複写費として計上していた金額が繰り越しとなったため。また、実施済みの調査における史料複写費についても見積もりを下回ったため。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
二年度目に久米島調査を実施するとともに、予定している史料複写などを積極的に進めていく。
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Research Products
(5 results)
