2014 Fiscal Year Research-status Report
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26770224
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
石田 俊 山口大学, 人文学部, 講師 (70711224)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 日本近世史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、平成26年度の研究計画にもとづき、研究に使用する史料の収集・分析を中心に研究活動を行った。 公家関係史料については、京都大学総合博物館所蔵勧修寺家文書を数度閲覧し、江戸時代前期~中期の当主である勧修寺経慶、および後期の当主である勧修寺経逸の日記の写真帳を購入した。そして公家の「家」のあり方や、特にそのなかでも奥向きの動向がうかがえる記事を抽出し、翻刻と分析を進めた。しかし、一つの文書群のみではやはり限界があるので、史料的限界を乗り越え、かつ個々の「家」のみではなく公家社会全体における奥向きの役割を解明するため、インターネットにてデジタル閲覧が可能な東京大学史料編纂所所蔵公家日記や国文学研究資料館所蔵久世家文書などについても史料の収集を行った。 武家関係史料については、萩藩毛利家について山口県文書館所蔵史料を中心に写真撮影・分析を進めた。近世前期毛利家の女性が記した仮名消息や、江戸藩邸の様子がわかる史料を中心に撮影し、その翻刻と分析を進めた。また、平成27年度よりとりくむ予定であった松江藩松平家についても、執筆予定の『松江市史』の作業にともない、事務局と連絡をとりあって史料の収集・分析を開始している。なお、「現在までの達成度」「今後の研究の推進方策」の項でも記したように、研究を進めるなかで、武家の奥向きについては大名家のみならず、江戸城大奥についてのより総合的な分析が必要であるという認識に至った。そのため、研究計画をより発展させるため、江戸城大奥女中の出自や経歴について分析を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、平成26年度の研究計画にもとづき、研究に使用する史料の収集・分析を中心に研究活動を行った。 公家関係史料については、勧修寺家文書の閲覧・翻刻を行い、写真帳を購入したが、史料選定に時間を要したため、計画より少額の購入にとどまった。また石井家文書については、十分な検討を行うことができていない。他家の動向をあわせて検討するため、東京大学史料編纂所所蔵公家日記や国文学研究資料館所蔵久世家文書なども収集する必要が生じており、総じて計画よりやや遅れている。 武家関係史料については、萩藩毛利家史料の閲覧・撮影を進めているが、想定よりも史料量が多く、計画よりやや遅れている。松江藩松平家については、平成27年度より開始する予定を前倒しで行っており、こちらは計画より進んでいる。 また、「研究実績の概要」「今後の研究の推進方策」の項でも述べた通り、江戸城大奥についての分析もはじめており、必要な作業量は増えているが、研究計画の発展という意味では計画より進んでいる。 このように、計画より進んでいる箇所、遅れている箇所双方あるが、総合的に「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画においては(1)勧修寺家と萩藩毛利家を軸にした学術論文または学会報告(2)その二家に加え、石井家と松江藩松平家についての学術論文または学会報告という二本の研究成果を想定し、さらに可能であれば(3)近世の奥向き全体を近世政治史のなかに位置づける学術論文または学会報告を加えることとしていた。 現在までの進展を踏まえ、(1)勧修寺家と萩藩毛利家・松江藩松平家を軸とし、石井家の分析結果をも取り入れた形で学術論文の執筆または学会報告を行うこととする。これに加え(2)新たに幕府の奥向き(江戸城大奥)についての学術論文・研究報告を目指すこととし、そのための史料の収集・分析を鋭意進める。(3)について発表するか否かは、なおもその段階での状況を勘案し判断することとする。
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Causes of Carryover |
「その他」項目に次年度使用額が生じたが、これは写真帳購入に際し、想定よりも史料の選定に時間を要した結果、取り急ぎ必要とする分のみ発注することとしたためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の夏のうちに、残りの写真帳を購入することで使用する。
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