2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26770224
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
石田 俊 山口大学, 人文学部, 講師 (70711224)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 日本史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、交付申請書に記載した「研究実施計画」および平成26年度に提出した「研究実施報告書」に基づき史料の収集・分析および研究成果の発表を行った。 勧修寺家の奥向きについては、京都大学総合博物館所蔵勧修寺家文庫の当主日記の分析を行い、一定の成果を得ることができた。具体的には、日記に登場する勧修寺家当主の妻妾の出自や立場、家の中での役割などを解明し、また大名家の奥向きに勤めた子女との交流について検討した。また、同日記の分析から天皇家の教育においても奥向きの女性が関わっている事実を明らかにした。一方で、当初予定されていた萩藩毛利家の奥向きについては十分な成果をあげることができなかった。 松江藩の奥向きについては、近世中期の藩主正室天岳院の事例を検討することで大きな成果を得ることができた。天岳院は将軍家の親族であり、かつ伏見宮家出身の女性である。当該期の松江藩は、天岳院の夫である藩主が早くして亡くなり、若くして子が相続するという状況にあった。このようななかで、藩政における天岳院の役割を検討し、表向きの政治と奥向きとの関わりを解明することができた。 「研究実施計画」および「研究実施報告書」では、最終的な目標として奥向きを近世国家の政治構造のなかに位置づけることをあげたが、これについては時間的限界から今後の課題とすることとした。残された問題の一部は、平成28年度からの研究課題「近世公武婚に関する研究」でより詳細に検討する予定である。
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