2017 Fiscal Year Research-status Report
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26770225
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Research Institution | Meio University |
Principal Investigator |
屋良 健一郎 名桜大学, 国際学部, 上級准教授 (40710158)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 古文書 / 家譜 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、これまでの調査で得た史料の分析を進めると共に、研究成果の公表にも努め、学会等での発表や論文の執筆を行った。それら学会発表、論文においては、種子島家が近世に編纂した家譜である「種子島譜」を主に扱った。「種子島譜」には、草稿のようなものとみられる延宝五年六月上旬本と完成版である延宝五年六月下旬本が存在する。両者を比較した結果、後者では前者と比べて、薩摩藩主である島津家(相州家)への敬意が際立つようになっていることを指摘した。また、「種子島譜」をはじめとする種子島家の公的な記録である家譜には見られない記述が、種子島家の家臣が記した記録には見られることを指摘した。それらの記述は種子島家と島津相州家との対立関係に関することや、種子島への異国船漂着に関するもので、いずれも中世の出来事であった。これらのことを踏まえ、近世の種子島家と島津家との関係が近世における家譜編纂に影響し、中世の出来事の記され方に影響を与えた可能性を述べた。以上の考察より、種子島の家譜を利用する際の課題や、家譜以外の史料の有用性についても指摘できたものと考える。 また、引き続き種子島での現地調査も行った。調査では種子島開発総合センター(鉄砲館)が所蔵する史料を、前年度までの未調査分も含めて閲覧すると共に、近年、島内で発見された新たな史料群についても調査の機会を得た。ほとんどが近世の史料であるが、中世の情報を伝える史料も含まれており、種子島の歴史を考える上で重要な史料であるとの知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の予定では、種子島で調査を行った史料を翻刻し、公表していく予定だったが、それができていない。その理由としては、関連する史料が別の場で新たに見つかったということがある。種子島で調査を得た史料のみならず、関連する史料の分析も進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、これまでの研究を総括し、研究成果の公表を進める。特に、種子島において地元の自治体と連携しつつ、研究成果を広く市民に伝えるための研究発表会を実施することに力を入れる。また、調査を行ってきた史料の翻刻、発表を進める。
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Causes of Carryover |
研究が当初の予定通り進んでおらず、研究期間を1年延長することになったため。延長により平成30年度が最終年度となるが、当該年度には研究成果を公表するための研究発表会を予定しており、その開催のために使用する予定である。
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