2016 Fiscal Year Research-status Report
| Project/Area Number |
26770230
|
|---|
| Research Institution | Meiji University |
|---|
Principal Investigator |
日比 佳代子 明治大学, 学術・社会連携部博物館事務室, 専任職員 (40468830)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
| Keywords | 転封 / 藩 / 地域社会 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
転封が藩に与える影響を検討するという課題に関して、明治大学博物館内藤家文書を対象として、転封関連の記載や、転封後の藩政の展開を窺いうる記載のある該当時期の日記、案詞類を調査・撮影した。また、新領となる延岡領での動きだけではなく、江戸や大坂との関係も注目すべきものがあるため、特に大坂屋敷に注目した史料調査をすすめた。大坂屋敷や転封時に大坂に派遣された役人が関与した引き継ぎ関係史料、遠隔地とのやりとりの記録を写真撮影した。また、転封後の藩政の定着過程や周辺の藩とのやりとりを分析するという課題に関わって、延岡藩地方関係史料、周辺諸藩の藩政関係史料の調査を行った。前年に引き続き行っていた内藤藩家臣団の由緒書や役職関係史料のデータベース化を進め、これを完了した。
大坂転封関係史料や、該当時期の内藤藩の役職変遷の分析を行った結果、転封時に大坂に派遣された役人が、江戸以西の藩士の移動の手配、牧野家の大坂役人との打ち合わせ、大坂における武士社会への加入へ向けた活動をしている事などが明らかになった。この成果は、転封後の大坂屋敷の組織のあり方と共に論文化し発表した。大坂屋敷新設については、東国から西国への領地の移動に内藤藩がどのように対応したのかという問題を考える上で重要である事から、さらに研究を進める事とし、大坂屋敷で生み出される記録の全体像の把握をめざして、日記類の所在調査を開始し、基本的な記録と思われる「大坂状案詞」の記載内容に関するデータ採取作業も開始した。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
藩士由緒や役職関係の情報など、藩政組織の大枠の把握に必要となる基礎的なデータの作成が終了した。そして、これを大坂屋敷の組織分析に活用する事ができた。また、新領での藩政の展開という課題を分析するための国許関係の史料の調査・写真撮影は順調にすすんだ。一方で、東国から西国への領地移動へ藩がどう対応したかを考える上で重要な大坂屋敷新設に関係する記録類は、当初調査対象に見込んでいなかったので、これに関する史料の調査が更に必要になっており、作業を残す形になった。
|
| Strategy for Future Research Activity |
転封後の内藤藩政がどのように滑り出すのかという問題について、まずは国許を対象とし、この時期の各種の日記を素材として検討をすすめる。また、大坂屋敷で作成される記録の全体像を明らかにして、大坂屋敷の役割を分析し、西国の藩となった内藤藩がどのように新しい領地に適応してゆくのかという問題を考察する。
|
| Causes of Carryover |
内藤家文書の調査にあたってマイクロフィルムの利用と紙焼を想定していたが、マイクロフィルム撮影がされていない文書を対象にする事になったため、この分の費用が生じなかった。撮影にはアルバイトによる撮影補助を考えていたが、人手が確保できずこの費用を使う事ができなかった。
|
| Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たに大坂関係の記録類の全体像把握を目指した調査を開始したため、この調査や写真撮影の補助作業に費用を支出する。また、記載内容に関するデータ採取作業などにアルバイトの人件費を見込んでいる。
|
Research Products
(1 results)
