2023 Fiscal Year Annual Research Report
The process of constructing the Han in the new domain of a fief-changed feudal lord
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26770230
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
日比 佳代子 明治大学, 学術・社会連携部博物館事務室, 専任職員 (40468830)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 藩 / 転封 / 大坂屋敷 / 藩政史料 / 記録管理 / 日本史 / 史料論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、延享四年(1747)の譜代大名内藤家の陸奥国磐城平から日向国延岡への転封を素材にして、内藤藩がこの転封にどのように対応したのかを具体的に検討し、藩の新領地への適応過程を明らかにした。 まず、転封を機に新設された大坂屋敷に注目し、転封時に藩士の移動手配などの為に大坂に派遣された藩士達がそのまま大坂屋敷の役人になっていくことや、転封後の大坂屋敷の組織の改編を明らかにし、「内藤藩の大坂屋敷」(明治大学博物館研究報告22、2017)として論文化した。その後の大坂屋敷は、経済的な役割だけではなく、江戸と国元をつなぐ役割も果たすことになる。これに関わって、内藤藩の大坂関係記録の全体像や大坂屋敷の藩政上の役割と記録発生の仕組みを、「大坂屋敷をめぐる記録管理について」として学会で発表した。つぎに、新領地における近隣大名との交際に注目し、転封時に前領主から交際に関する引き継ぎを受け、転封直後から国元で近隣大名と書状の往来を始めていること、その後書状交換の場が大坂に移ることなどを明らかにし、「延岡藩内藤家と近隣大名との交際」(中野等編『中近世九州・西国史研究』吉川弘文館、2024)して論文化した。近隣大名との交際という側面においても、大坂の重要性が明らかになったと言えよう。さらに、転封時には家臣団の下層部分に入れ替わりがあることに注目し、在地に軸足を置く浪人の処遇について、「転封における郷士の処遇」として学会で発表した。 この他、『内藤家文書 御役人前録』(明治大学博物館、2022)、「内藤家親族関係史料」(『明治大学博物館年報2022年度』明治大学博物館、2024)として基礎史料の翻刻紹介を行い、内藤藩の転封を取り上げた展示を開催して、図録『藩領と江戸藩邸』(明治大学博物館、2014)、図録『新しいお殿様―所替・その後―』(明治大学博物館、2022)を刊行した。
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