2014 Fiscal Year Research-status Report
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26770231
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
尾脇 秀和 佛教大学, 総合研究所, 特別研究員 (60719912)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 日本近世史 / 地下官人 / 少外記 / 京都 / 朝廷 / 近世身分 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、少外記山口家日記の享保5年(1720)~安永8年(1779)までの約60年分、総計84冊のデジタル撮影を行った。これにより、将来のデータベース化・公開の土台が整った。 佛教大学所蔵中原家文書94点について悉皆調査を行い、史料としての詳細な調査を行なった。当該文書は、図書として書誌学的に整理された事情から「著者不詳」とされた分が多く存在していたが、調査の結果、全ての史料の筆者を特定できた。あわせて各日記の性質についても明らかにした。少外記山口家日記は、友昌、友俊、千俊、康俊(友興)四代にわたるが、当主・嗣子それぞれが別に記した時期(主に嗣子の若年期と、当主の晩年は別になる)と、同冊に記している時期が存在する。日記の表題は「友俊家記」「友俊家記千俊兼記」などである。千俊・康俊時代の延享5年以降、当主家の日記は「公私家記」の表題に統一されていく。 特に友俊の日記は、享保5年~宝暦5年48冊と長期にわたる。それは①友昌とは別に友俊一人で記した前期(享保18年まで)、②息子千俊との「兼記」となる中期(延享4年まで)、③少外記を辞し(少内記は継続)息子と別居し、「竹亭」と号し記した後期(宝暦5年まで)のものがある。その内容は日常の瑣事や自らの感傷を多く記し、同家の日記の中でも、特に異彩を放つ、内容豊富なものであることが判明した。平成26年度は享保20年頃までの日記の解読・分析を進め、40歳の浪人「羽田泰助」が、山口少外記中原友昌の養子となって「山口権少外記中原友俊」となる具体的経緯などを明らかにした。 また、中原家文書に含まれる「外記史分配」8冊は、寛永21年~延宝5年(1冊)と、宝永6年~明和5年(7冊)の期間、外記史の朝廷儀式への参勤実態を知ることのできる資料であることが明らかになった。そのため、同史料も将来データベース化・公開を進めるためにデジタル撮影を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた少外記山口家の享保5年(1720)~安永8年(1779)までの約60年分、総計84冊のデジタル撮影が完了し、佛教大学図書館所蔵少外記山口家文書の悉皆調査を行い、その全体像および史料の性質を把握した。 また関連資料についても研究協力者とともに収集した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き少外記山口家日記の解読・分析作業を中心に、研究計画に沿って研究を進める。 また国立公文書館所蔵大外記押小路家文書をはじめ、関係する地下官人資料を調査・収集する。
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Causes of Carryover |
デジタル撮影の費用が想定より低額におさめられたこと、および代表者の都合により、26年度に予定していた東京調査を27年春に延期したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
26年度に予定していた東京調査の旅費、および物品費として使用する計画である。
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