2016 Fiscal Year Research-status Report
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26770231
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
尾脇 秀和 佛教大学, 総合研究所, 特別研究員 (60719912)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 日本近世史 / 地下官人 / 少外記 / 中原家文書 / 少外記山口家 / 京都 / 朝廷 / 佛教大学附属図書館 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近世において、代々少外記を世襲した地下官人山口家(本姓中原氏)の日記を主な素材として、近世少外記山口家の実態を初めて本格的に研究するものである。 今年度も、前年度に引続き、少外記山口家の日記解読・分析を進め、主に宝暦2年~安永8年の日記(25冊)を対象とした。この時期は、山口友俊の最晩年と、次代の息子千俊、孫の康紀(友興・康俊・康紀と改名)の活動時期で、康紀の死の記事を以て終わっている。前年度にも判明したように、有職故実に通じた友俊の日記は、朝廷儀礼などの考証や、京都の風俗などの見聞記事が多く見える。特に友俊の晩年(70歳代)の日記は、出仕が減った分、市井での見聞記事等が更に多くなり、それに対する所感や考察も記されている。佛教大学附属図書館所蔵「中原家文書」のなかでも、特に友俊家記は、今後、最も多方面からの活用が見込まれる。 千俊・康紀の「公私家記」は、近世の一般的な淡々とした日記録であるため、友俊家記のような異彩や、内容の多様性はみられなくなっている。しかし千俊以降、摂関家の一つである九条家へ出仕するようになったことなど、友俊時代とは異なる活動が確認でき、近世少外記の実態を明らかにすることができた。 また、少外記山口家と、その居住する町との関係も分析した。例えば友俊・千俊の時代には、「門弟之小童」などと呼ばれる、山口家に手習に通う子供(男女とも)が確認でき、町では手習師匠として活動していたことなどが明らかになった。 この他、宮内庁書陵部へ出張、国文学研究資料館、早稲田大学図書館、国立国会図書館が公開するデジタル化資料の閲覧などにより、関係する地下官人関係史料の調査・収集・分析に努めた。また昨年度につづき、古代から近世までの関連図書類も収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、少外記山口家の日記解読・分析を進めた。また資史料の調査・収集も順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の重要な目的の一つは、少外記山口家日記を、史料として広く使用できるようにすることである。 山口家の日記を含む、佛教大学附属図書館所蔵「中原家文書」全点のデジタル撮影は、初年度の科研費によって既に完了しているが、現在の所蔵機関における、蔵書目録上の名称(古典籍としての整理目録)のまま公開しても、資史料としての使用するには難があるため(記主の未特定、表紙の欠損により無表題のまま処理されたものなどが多数ある)、十分な活用は見込み得ない。本研究によって改めて整理・作成した目録・解題を、学術雑誌上等で、広く史料紹介を行ったのち、デジタル画像を公開する必要がある。
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Research Products
(1 results)