2017 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on the actual situation of the Yamaguchi family who served as jikekanjin, namely, early modern shogeki
Project/Area Number |
26770231
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
尾脇 秀和 佛教大学, 総合研究所, 特別研究員 (60719912)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地下官人 / 中原家文書 / 日本近世史 / 近世朝廷 / 少外記 / 山口家 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近世において代々少外記を世襲した、地下官人・少外記山口家(本姓中原氏)の日記(佛教大学附属図書館所蔵「中原家文書」)を主な素材として、その実態を初めて本格的に研究するものであった。 今年度は、これまで読み進めてきた日記、及びそれ以外の「中原家文書」、そして、これまで収集してきた史資料、これら全体を通して、研究の総括を行った。 特に日記から、少外記山口家の相続・血縁に関係する記事を抽出し、他史料の記述も踏まえて整理することで、近世初期から中期までの、同家の正確な系譜を復元した。これにより、近世初期に少外記山口家が取り立てられ、断絶・再興を経て相続された具体的事情・背景(初代山口生友が少外記に取り立てられた理由、少外記山口家を再興した友昌の実家・血縁関係等)について、従来知られている『地下家伝』の情報とは、異なる事実が明らかになった。地下官人の取り立てや「相続」手続きの実態が明らかになったのは、大きな成果である。 また、「中原家文書」のうち、外記・史の勤務記録である「外記史分配」8冊(寛永21年~延宝5年(1冊)、宝永6年~明和5年(7冊))と、日記記事との比較・検討を行った。「外記史分配」は、諸節会・陣儀など、朝廷儀式に参仕した上卿・奉行・弁の名前と、両局、及び「分配」を受けた外記・史の名前を収録した史料である。外記・史は、全員が揃って儀式に参仕するのではなく、「分配」という、いわば当番制のような形式をとるため、誰が出勤したかを記録したのである。但しこの史料だけでは、「語ヒ」(代理出勤)が行われている事情などは、全くうかがえない。しかし日記と併用することで、その具体的事情まで、詳細に知ることができることが明らかになった。なお、「外記史分配」は初年度に全点のデジタル撮影が済んでおり、将来的には「日記」との併用による、さらなる活用が期待される。
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