2014 Fiscal Year Research-status Report
近世の小規模領有関係錯綜地域における領主ネットワークと地域社会に関する研究
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26770238
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Research Institution | The Iida City Institute of Historical Research |
Principal Investigator |
千葉 拓真 飯田市歴史研究所, その他部局等, 研究員 (60719483)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 飯田藩 / 交代寄合 / 藩社会 / 非領国 / 小藩 |
Outline of Annual Research Achievements |
史料の調査については、研究計画に従って飯田藩および下伊那に知行地を有した交代寄合に関する史料の調査および収集を行い、史料の翻刻および史料分析を進めた。飯田藩に関係する史料に関しては、飯田市歴史研究所が所蔵する写真帳に加え、東北大学附属図書館、東京大学史料編纂所、国立国会図書館などにおいて収集した。これらの作業により、概ね史料の所在を確認でき、主要な部分については収集・調査を行うことができた。これによって基礎的な事実の確定が可能となり、研究が大きく前進した。なおこれらの研究成果の一部については、東京大学近世史研究会、日本古文書学会などにおいて研究報告を行っており、そこでの議論は今後研究を進めていく上で大変参考になった。 加えて飯田・下伊那に領地を有する他の領主については、交代寄合信濃衆、特に小笠原氏(小笠原資料館蔵 小笠原家文書)、座光寺氏(高森町歴史民俗資料館蔵 片桐家文書)に関する史料を中心に収集・分析を進めた。概ね史料の状況を把握することができ、今後の研究活動を行う上での足固めをすることができた。こうした成果については、今後所々の学会、研究会等において、報告を行う予定である。 また上記の作業に加え、これまで行ってきた加賀藩や土浦藩などに関する研究も進め、飯田藩等との比較検討を行うための準備を進めた。これらについては、第53回近世史サマーセミナーなどにおいて報告を行ったものもある。これらは飯田藩とは性格を異にする諸藩であり、今後、比較検討を行う上で重要な視点を得ることが出来た。 上記に加え、飯田藩および交代寄合信濃衆などについて、関連する史料の存在をいくつか確認することが出来た。具体的には、高木家文書(名古屋大学附属図書館)、松平太郎左衛門家文書(豊田市郷土資料館)などである。これらについては今後調査を進め、飯田藩等に関連する史料が存在するのか、調査する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は飯田藩やその周辺に領地を有する領主に関する史料の収集と分析を主な活動として計画していたが、飯田藩や交代寄合信濃衆などについては、概ね主要な史料の所在を把握し、それを収集するとともに、そのについては、翻刻と分析を行うことができた。これに加え、収集・調査まで至らなかったが、所在を確認できた史料も複数あった。これらについては二年目以降の研究推進において、重要になっていくと考えられる。 またその成果の一部、および科研申請以前に行った調査活動の成果については、研究報告等の形で報告・公表することができた。 計画に記した史料についてもすべてを収集・調査できたわけではなく、一部は二年目に持越しとなったものも存在するが、これらの史料についても所在状況や概要は把握することが出来ているため、計画の進行上、大きな問題ではないと考えられる。 以上の点ではおおむね研究計画に記した初年度の目的は、一定度達成することが出来ていると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
飯田・下伊那地域における領主とそのネットワーク、および地域社会とのつながりを検討する上では、飯田藩や交代寄合信濃衆に関する史料の収集と分析をなお続ける必要がある。 また昨年度は所在を確認しながらも収集に至らなかった史料も存在し(具体的には大久保文書や高遠藩主内藤家文書など)、加えて飯田・下伊那の領主たちと関係を持っていたと考えられる三遠南信地域における諸領主の史料についても、その収集と分析を行い、より広範かつ多角的な視点から、飯田・下伊那地域における事例の分析を進める。 さらに以上の成果を積極的に学会等で報告し、諸研究者らと議論を深めていくことも同時に目指していく。またワークショップを飯田において開催し、最終年度における成果の集約等につなげていくことを目指す。
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Causes of Carryover |
予定していた史料の調査の一部が、職場における行事の都合等で実施できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実施できなか調査の旅費の一部とするほか、平成27年度中にワークショップを行うこととなったため、そこで招聘したシンポジストへの謝金や雑費等に使用する。
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