2014 Fiscal Year Research-status Report
清朝中期の対外関係:「カントンシステム」再検討(1784-1833)
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26770239
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
豊岡 康史 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (30712559)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 国際関係 / 清朝 / マカオ / 中英関係 / 経済史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究実施計画に照らして、長崎歴史博物館での史料調査(フェートン号航海日誌)を行うとともに、これまでの研究成果の整理・発表の準備を行った。8月に新村容子『アヘン戦争の起源』の書評を脱稿(『歴史学研究』掲載予定)し、清代中期の対外政策決定過程における、国内政治状況の反映について指摘を行った。11月に信大史学会において「嘉慶維新:1799年、清朝政治改革の再検討」と題して研究報告を行い、18世紀最末期において、清朝が帝国内における漢地の重要性増大に応じ、その正当性を漢人知識人の論理に寄り添う形で改変していったことを指摘した。また、Frontiers of History in China誌への投稿論文を執筆(Modulating Truth, Enhancing Legitimacy: The British Occupation of Macau in 1808 and the Asymmetric Communication between the Local and Central Qing Governments)。清朝のマカオ政策が、広東地方当局が実務を担うのに対し、清朝中央は清朝全体における政権の正統性を補強するような行動をとり、地方側に、中央の事情をくみ取った形での報告を行うよう指示していたことを指摘した。 くわえて、清朝の対外関係の検討の前提となる18・19世紀中国経済について、天災を原因とする流通阻害による景況悪化と、清朝の反乱鎮圧に伴う財政出動による物価上昇について明らかにした。この内容については2015年5月に社会経済史学会大会(早稲田大学/題目:「清代中期の経済変動と財政支出」)において報告を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長期海外史料調査は行いえなかったものの、国内所蔵資料の充実した調査を行うとともに、調査内容の位置づけについての検討を進めることができた。よって、おおむね予定通り進展したと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時の研究推進の方策を継続する。 来年度はおもに台湾・マカオでの史料調査を行いつつ、おもに清朝の国際関係上での行動を軸に、各国勢力の利害と19世紀初頭の東アジアをめぐる国際関係構造を分析する。具体的には、18世紀末以来アヘン取引に深くかかわっていたマカオの華人系商人の処遇について、英国・ポルトガル・清朝の関与の在り方を検討する。
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Research Products
(3 results)