2015 Fiscal Year Research-status Report
清朝中期の対外関係:「カントンシステム」再検討(1784-1833)
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26770239
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
豊岡 康史 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (30712559)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 国際関係 / 清朝史 / マカオ / 中英関係 / 社会史 / 経済史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究実施計画を見直し、28年度に予定していたロンドン・英国文書館・英国図書館において、外務省文書(FO)およびインド庁文書(IOR)内のカントン商館文書の調査を行い、1790年代から1830年代までの、英国東インド会社広東商館と清朝広東当局のあいだでの折衝の在り方について知見を得るとともに、これまでの研究成果を一般に公開した。 平成27年5月に社会経済史学会第84回全国大会東洋史部会において「清代中期の経済変動と財政支出」と題して報告を行い、1800年前後における清朝経済の縮小局面とそこからの回復を清朝政府の財政支出から説明した。8月に発表された書評「新村容子『アヘン戦争の起源:黄爵滋と彼のネットワーク』」(『歴史学研究』934、pp.55-58)においては、1830年代の政策決定過程のありかたが、1800年前後の変容に規定されていることを指摘した。平成28年2月に発表された「「海の歴史」のなかのアヘン戦争」(『世界史の研究』246,pp.53-56)では、イギリス側の「進出」のみならず清朝側の経済変動がアヘン戦争の契機を形成していることを指摘した。同月に刊行された『海賊からみた清朝:十八~十九世紀の南シナ海』(藤原書店)では、清朝沿岸域をめぐる政治史・社会史を検討し、従来十分に明らかにされてこなかった1800年前後の清朝の対外関係と社会状況を解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施年度は計画とは異なるが、英国での長期調査を行うことができた。また、ウェブ上で公開されているデータも合わせて、分析を行うとともに、研究成果の発表もできた。よって、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時の研究推進の方策を調整しつつ、継続して行う。 H29年度は、マカオ・台湾での調査を行い、主に清朝と、マカオ・イギリスとの国際関係について分析を加え、とくに1820年代前にマカオを拠点に活動する華人アヘン商人の動向について検討する。
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Research Products
(5 results)