2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26770247
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
辻 大和 学習院大学, 付置研究所, 助教 (50632303)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 朝貢 / 互市 / 薬用人蔘 / 明清交替 / 朝鮮王朝 / 燕行使 / 档案 / 貿易 |
Outline of Annual Research Achievements |
<研究の内容> 夏休み中に中国第一歴史档案館において、内閣大庫档案資料中の、1640年代の朝鮮/清関係の題本を調査した。その結果、朝鮮使節の薬用人蔘携帯に対する清の規制、同使節が朝貢品輸送中に起こした事故などの新情報を題本中に見つけることができた。そのうち薬用人蔘携帯に関して、2016年10月に開催された朝鮮学会大会の発表に盛り込むことができた。同大会においては「17世紀朝鮮の対清貿易制度の改変について」という題目のもと、清の入関後にどのように朝鮮/清の貿易制度が変化したのかという発表を行った。とりわけ清朝が、明朝と違って朝鮮使節がもたらす薬用人蔘に抑制的な態度をとっており、朝鮮もそれに対応したことを示した。 また『内陸アジア史研究』30号に論文「丙子の乱後朝鮮の対清貿易について」が掲載され、朝鮮の対明貿易政策を継承して、対清貿易政策の基礎が築かれたものの、明代にはそれほど行われなかった開市が清代に広がったことを論証した。なお年度当初はカリフォルニア大学バークレー校において浅見文庫の調査を行う予定であったが、必要であった『備辺司関録』等、資料の多くがデジタル化され、高麗大学校民族文化研究院のwebサイトで公開されたため出張を見送り、日本国内でwebからの閲覧と関係資料調査につとめた。『備辺司関録』からは朝鮮の清服属直後に瀋陽と朝鮮を往来した朝鮮官員の情報を抽出した。 <研究の意義と今後の課題> 本研究では朝鮮の対清貿易政策が対明貿易政策から何を継承し、継承していないかという点を明確にすることができた。従来の研究では明代と清代に分断して朝鮮の対外貿易研究を行う傾向があったため、朝鮮の対清貿易政策の独自性が分かりにくかった。1650年代以降に朝鮮の対清貿易政策がどのように変容し、19世紀に至るかという点には十分に研究を深めることができなかった。今後の課題としたい。
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Research Products
(2 results)