2014 Fiscal Year Research-status Report
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26770250
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Research Institution | The Toyo Bunko |
Principal Investigator |
小林 隆道 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 奨励研究員 (40727335)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 中国史 / 史料学 / 文書研究 / 石刻「文書」 / 碑刻 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実施計画に基づき、平成26年度は次の三点に重心を置き研究を進めた。1、文献史料の整理・分析。2、フィールドワーク。3、研究成果の発信。この三点に即して研究成果を記す。 まず1に関して。本研究では考察対象時代を従来の宋代よりも広く設定しているため、金代及び元代に関する文献史料の基礎的な整理・分析をまず行った。 次に2に関して。自らを「資料の史料化プロセス」に置き史料論を含めた研究を進めるため、中国現地に赴きフィールドワークを行った。8月には蘇州大学の丁義jue氏の協力を得て蘇州玄妙観の碑刻「玄妙観重修三門記」と蘇州文廟の碑刻を調査した。前者は元代を代表する書家趙孟fuが書丹したものであり、その草稿は東京国立博物館に所蔵され中国書法上に重要な位置を占めている。しかし、原碑は失われ、現在立石されている碑は復元された模刻であり、書は草稿として伝世しているため、碑刻自体の歴史的意味は見過ごされてきた。しかし、石刻「文書」のモノとしての側面を重視する本研究にとって、書が石に刻まれる意味を考える上で当該碑刻は重要な考察対象であり、その大きさ、形状、位置などの現場状況の把握を行った。 3に関して。ボストン、杭州で開催された2つの国際学会に英語論文を提出して参加し研究発表を行い、国内では2回の研究発表を行った。また、中国語論文を国際学界において影響力の強い論文集に1本公刊し、研究成果を国際的に発信した。これら海外での積極的な研究発表は現在の日本の学術界に求められる国際化の方向性に一致すると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の初年度となる平成26年度は、文献史料の整理・分析を進めるとともに、当初の計画の通り研究成果を国内外において発表した。本研究は、各国で進められている研究プロジェクトに積極的に参加し研究成果を国際的に発信することにも重点を置いている。そのため、特にアメリカと中国の学会で研究発表を行った意義は大きく、次年度以降の研究の基盤を形成することができた。研究は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も平成26年度に行った方法に沿った研究を継続することが重要である。本研究は石刻「文書」を直接の考察対象とする。しかし、石刻「文書」を中国の政治・文化・地域の凝集物と位置づける本研究では、文書にのみ関心を限るのではなく、より広い視野からの考察が求められる。一方、現在、国際学界では当該時期の文化活動に注目が集まっている。その動向と本研究とがどのように関連するのかを追求することにより、国際的な研究協力を構築すると同時に「広い視野」を得ることが可能となるだろう。
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Causes of Carryover |
当初の計画では中国でのフィールドワークを予定していたが、日程の都合上実行することができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国外でのフィールドワークのための旅費、或いは所属変更に伴い研究環境に合わせた備品の購入のために物品費に充てる計画である。
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Remarks |
なし
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Research Products
(5 results)