2015 Fiscal Year Research-status Report
近現代にパリ万国博が果たした役割についての実証的研究:万国博組織委員会を中心に
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26770253
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Research Institution | Atomi University |
Principal Investigator |
寺本 敬子 跡見学園女子大学, 文学部, 助教 (80636879)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 万国博覧会 / フランス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は研究計画に従って「第三共和政とパリ万国博」を題材に、1878年・1889年・1900年に開催されたパリ万国博について調査研究を実施した。史料調査については、平成26年度と同様に、8月に一定期間の在外研究をパリ(フランス国立文書館、国立図書館、外務省文書館等)で行った。フランスでは、パリ第1大学の19世紀史研究センターの客員研究員として、研究上の意見交換・連携を継続している。また国内では、国際日本文化研究センター(京都)の共同研究会「万国博覧会と人間の歴史」に継続的に参加した。本年度は、定期的な共同研究会への参加に加え、6月にミラノ万国博を視察し、ミラノ万博公社のインタビュー等を行った。また12月に国際日本文化研究センター(京都)で開催された国際研究集会に出席し、総合討論でのコメンテーターを務めた。 研究成果としては、1878年パリ万国博を対象とした論文を発表した。この論文では、特に1878年パリ万国博で日本事務官長を務めた前田正名の役割に焦点を当て、フランス側の組織委員会との交流やジャポニスムとのかかわりについて明らかにした。この他、口頭発表を2回行った。6月に、1867年パリ万国博に参加した徳川昭武と渋沢栄一について、跡見学園女子大学(東京)の春期公開講座で発表した。7月には、1867年・1878年パリ万国博とジャポニスムについて、スペイン・ラテンアメリカ美術史研究会(国立西洋美術館、東京)で発表した。 以上の研究活動を通じ、平成26年度から継続して、第二帝政から第三共和政へのパリ万国博の変遷について調査を進めることができた。また本研究は19世紀パリ万国博を対象とするが、現代の万国博の実施状況、他国での万国博の研究動向についてフォローし、より包括的な視点から次の平成28年度に研究成果をまとめたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、「研究実績の概要」で上述したとおり、研究計画に従って「第三共和政とパリ万国博」を題材に、1878年・1889年・1900年のパリ万国博にかかわる調査研究をおおむね順調に実施することができた。フランスでの在外研究では、19世紀史研究センターの他、フランス国立文書館・国立図書館等で有益な助言を得て資料調査を進めることができた。また研究成果については、1878年パリ万国博を対象とした論文の発表、1867年と1878年のパリ万国博にかかわる口頭発表(2回)を行い、国際研究集会(国際日本文化研究センター「万国博覧会と人間の歴史」)でのコメンテーター(1回)も務めた。 以上の研究活動を通じ、平成26年度から継続して、第二帝政から第三共和政へのパリ万国博の変遷について調査を進めることができた。なお、平成27年度に生じた研究計画の変更としては、フランス(パリ)での在外研究を当初予定していた2回のうち1回にとどめ、これを国内での万博資料の調査および整理にあてた点にある。次の平成28年度にフランス(パリ)での在外研究を実施し、パリ万国博の研究成果をまとめたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、最終年度のため、19世紀パリ万国博の調査研究の成果をまとめ、単行本として出版を行う予定である。そのため、国内での研究活動に加え、フランス(パリ)での在外研究を実施する。また外部との研究連携としては、フランスのパリ第1大学19世紀史研究センターおよび各種文書館、国内では国際日本文化研究センターの共同研究会「万国博覧会と人間の歴史」に参加し、継続的に研究上の意見交換を行いたいと考えている。 以上に挙げた研究活動の他、次の平成29年度に向けて、渋沢史料館(東京)と松戸市戸定歴史館(千葉)で計画されている企画展(1867年パリ万国博関連)の図録論稿の執筆、関連講演会での口頭発表に向けた準備を行う予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年度はフランス(パリ)での在外研究を2回(8月・2月)行う予定であったが、これを1回(8月)にとどめた。その理由として2月は、これまでにフランス(パリ)で収集した万博資料を整理し、国際日本文化研究センター(京都)の図書館での万博資料の調査にあてたことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、19世紀パリ万国博の調査研究の成果をまとめ、単行本として出版を行う予定である。そのため、国内での研究活動に加え、フランス(パリ)での在外研究を実施する計画であり、平成27年度に未使用とした額を充当する。
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Research Products
(4 results)