2015 Fiscal Year Research-status Report
北アフリカ出土碑文に見る「ローマ人」意識の生成と変容
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26770254
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
大清水 裕 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (70631571)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 古代ローマ / 北アフリカ / ラテン碑文 / ローマ人 / 皇帝礼拝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、これまでの研究成果を活字化する機会に恵まれたほか、昨年度の予備調査に基づいて現地での実見調査を行った。 まず、昨年度のシンポジウムでの報告をもとに、東北史学会・福島大学史学会・公益財団法人史学会編『東北史を開く(史学会125周年リレーシンポジウム2)』(山川出版社、2015年)と、豊田浩志編『モノとヒトの新史料学:古代地中海世界と前近代メディア』(勉誠出版、2016年)という2つの論集に、北アフリカの碑文研究に関する論考を寄稿した。前者は、2世紀末から5世紀初頭にかけての北アフリカに注目し、ローマ帝国における「中心」と「周縁」について論じたものである。後者においては、2世紀末から3世紀初頭にかけて活躍した北アフリカ出身の皇帝セプティミウス・セウェルスに捧げられた凱旋門を中心に、碑文史料の意義について論じた。その他、イタリアで出版された学会の報告集に、3世紀末の北アフリカの属州再編に関する論文を寄稿している。 上記のような成果に加えて、本年度は北アフリカでの現地調査も実施した。当初はチュニジアでの現地調査を計画していたものの、2度にわたるテロ事件により渡航を中止せざるを得なくなった。そのため、年度末にモロッコで現地調査を行うこととし、研究の進展を図った。モロッコでの現地調査の結果は、新年度の学会報告で活かしていくこととしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたチュニジアにおける現地調査は、治安の悪化のため中止を余儀なくされたものの、代わりにモロッコで現地調査を行い、成果を得ることができた。その結果については、新年度に学会での発表を予定している。また、いくつかの論集で研究成果の一部を活字化することもできた。そのため、研究は概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
新年度はアルジェリアでの現地調査を予定しているが、現地の治安状況を見ながら、実施については慎重に判断したい。アルジェリアでの調査が困難な場合には、ルーヴル美術館など、域外に搬出された資料の実見調査を進め、研究の進展を図りたい。モロッコでの現地調査の成果については学会での報告を予定しており、それを踏まえて、学術誌への投稿を目指している。
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