2015 Fiscal Year Research-status Report
修道院と教区共同体の相互影響関係と社会形成に関する比較研究
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26770256
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大貫 俊夫 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (30708095)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 西洋史 / 中世史 / 修道院 / 修道制 / シトー会 / 教会史 / 社会史 / 教区教会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の課題は、キリスト教修道制が中世世俗社会の形成・発展にとって本質的な役割を担っていたという認識に基づき、中世盛期から後期のシトー会修道院と教区=村落共同体の間で行われたコミュニケーションの実態を分析し、両者の相互影響関係を明らかにするというものである。
昨年の研究成果を踏まえて引き続き研究を深めていった平成27年度の研究実績は以下の通りである。 1、研究計画に記した通り、ライン=モーゼル地方、フランケン地方、ブランシュヴァイク地方といったゲルマン語圏に加え、南フランスなどのロマンス語圏のシトー会修道院に関する一次史料、研究文献を収集し、分析作業を進めた。 2、分析の結果、①人口の流出等によって空洞化した小教区で、パトロナートゥスの授与を通して司教と修道院の間の協働が推測されるということ、②修道院が小教区教会へ関与することで、結果として司牧の問題、修道院の収益の問題を超えて、小教区=村落共同体の形成や持続的発展に寄与していたということ、そして③修道院所領の住民、とりわけ賃金労働する人々と周辺の小教区にひも付けられた人々が、ミサを聞くことを目的として、彼らは相互に行き来していたこと、以上3点を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね研究計画に沿って研究を遂行しており、成果は査読付き論文、書評論文、国内外の学会での口頭発表で公表できた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで収集してきた一次史料、研究文献の分析を進めつつ、研究計画通り托鉢修道会と教区共同体の関係も分析し、シトー会の場合と比較していきたい。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた文房具類が不要になったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果をまとめる際に使う文房具類の購入に充てる。
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Research Products
(6 results)