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2014 Fiscal Year Research-status Report

13世紀―14世紀初頭のアラゴン連合王国におけるムデハル観と国家観

Research Project

Project/Area Number 26770258
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

阿部 俊大  九州大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (60635788)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywords西洋史 / スペイン史 / イスラーム / 地中海 / 統治制度 / 異文化共存 / 国家観
Outline of Annual Research Achievements

13世紀頃からアラゴン連合王国の統治下には多くのイスラーム系住民が存在し、彼らだけの集落を保持していた。バレンシアなどでは15世紀末まで人口の3割ほどがイスラーム系であった。しかしムデハルは、しばしば彼らだけで構成された集落・共同体の内部で人生を送ったため、彼らが残した史料は少なく、当時のムデハルの状況についての研究は20世紀半ばころまでほとんど進んでいなかった。
本研究代表者はこの事実に着目し、(1)イスラーム系住民はなぜ、アラゴン連合王国ではキリスト教社会から許容されることが出来たのか?(2)多数のイスラーム系住民を内包することで、アラゴン連合王国内部ではキリスト教徒の異教徒観はどのように変容したのか?(3)多数の異教徒住民を内包することは、「世界/国家=キリスト教徒の共同体」とする中世西欧の政治思想潮流の中で、アラゴン連合王国における国家観や世界観にどのような影響を与えたのか? という3つの問いを立て、キリスト教徒側の史料を用いて分析を進めている。
1年目である昨年度は、征服後のバレンシアでムデハルが許容されていった背景の分析を進めた。その際、国王の政策と在地の状況がそれぞれどのように推移していったか、対照させつつ検討を進めることを念頭に置き、前者については国王文書(入植許可状や法令集等)、後者については裁判記録や土地売買記録をもとに情報を収集した。
これらの史料の多くは刊行されているが、バルセロナのアラゴン連合王国文書館やカタルーニャ図書館、バルセロナ大学の図書館などでも補足の調査を行った。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当該年度は、ムデハルを巡る国王の政策の推移を分析するのが主な目的であった。具体的には、バレンシアにおいてムデハルが許容されていった過程を、当該地方の征服(1240年代)からシチリアの晩祷(1282年)頃までの約半世紀、国王ジャウマ1世(1213-1276年)とペラ2世(1276-1285年)の治世を対象に分析した。
当初、実施を予定していた、刊行されている土地分配記録や入植許可状その他の国王文書(『バレンシア等土地分配記録』Repartimentos de los reinos de Mallorca, Valencia y Cerdaña、『バレンシア王国中世入植許可状集』Cartes de Poblament Medievals Valencianes、『ジャウマ1世文書集』Documentos de Jaime I de Aragón、『ペラ大王(2世)文書集』Diplomatari de Pere el Gran、『十字軍王国バレンシア証書集』Diplomatarium of the crusader kingdom of Valencia)の入手と情報収集・分析はほぼ実施することが出来た。また、アラゴン連合王国文書館などの文書館でも補足の史資料収集を実施することが出来、概ね計画通りに予定した研究を進めることが出来ていると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

2年目である本年度は、国王が著した年代記や君主鑑、書簡や各種王令、また同時代の年代記や思想書などの叙述史料を主な史料とし、当時の国王や有識者の理念的なムデハル観、国家観を分析する。
国王の思想は、国王ジャウマ1世の自伝的年代記『事実の書』Llibre dels feits、同王が後継者に為政者の心構えを説いた『知恵の書』Llibre de Saviesa、その他、ペラ2世やアルフォンス2世(1285-1291年)、ジャウマ2世(1291-1327年)の書簡等を分析し、解明していく。アルフォンス2世とジャウマ2世の文書はまだ刊行されていないものが多いため、ムデハル関連のものに対象を限定しつつ、1年目同様、スペインの文書館で調査を行い、収集する。有識者の思想は上層都市民のデスクロットDesclotやムンタネルMuntanerがそれぞれ著した2点の『年代記』Crònica、また、下級貴族出身の思想家ラモン・リュイRamon Llullが支配者層のあるべき姿を説いた『騎士階級の書』Llibre de l’orde de cavalleria、キリスト教・イスラーム教・ユダヤ教の優劣を説いた『農夫と3人の賢者の書』Llibre del gentil i dels tres savisから分析する。
これらの叙述史料の多くは入手済みであり、欠けているものや関連研究文献については、やはりアラゴン連合王国文書館やバレンシア王国文書館、またカタルーニャ図書館で調査・収集する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2014

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results)

  • [Journal Article] Del obispado condal al obispado autonomo: El desarrollo de la relacion entre el Conde de Barcelona y la Iglesia como sistema de poder en el siglo XII2014

    • Author(s)
      Toshihiro Abe
    • Journal Title

      Acta Historica et Arquaeologica Mediaevalia

      Volume: 31 Pages: 163-188

    • Peer Reviewed / Open Access

URL: 

Published: 2016-06-01  

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