2016 Fiscal Year Annual Research Report
The images of "mudejar" and "state" in the Crown of Aragon in 13th and early 14th century
Project/Area Number |
26770258
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
阿部 俊大 九州大学, 言語文化研究院, 准教授 (60635788)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アラゴン連合王国 / バルセロナ伯領 / ローマ教皇 / ムデハル / レコンキスタ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、当時の西欧で例外的にイスラーム系住民やその共同体の存在が許容されていた、イベリア半島のアラゴン連合王国を対象に、他者を許容していく過程とその国家観への影響を分析し、同王国、さらには地中海地域が西欧の他の地域に対して有していた政治的風土の特徴、ひいては中世西欧における政治思想の多様性と、それが有していた可能性の一端を解明することを目的としていた。 そのためまず、研究のために必要な同時代史料の収集に取り組んだ。国王ジャウマ1世(1213-1276年)とペラ2世(1276-1285年)の国王文書の収集を継続的に行い、また、ムデハルが特に多く存在していたバレンシア地方の土地分配記録や入植許可状、『バレンシア等土地分配記録』『バレンシア王国中世入植許可状集』『バレンシア慣習法集』をはじめ、ムデハルに関連する史資料の収集に努めた。さらに、同時代の身分制議会であるコルツCortsの議事録、また、知識人たちの著作など、当時のムデハル観や国家観を分析する上で不可欠となる史料の収集も継続的に行った。加えて、インノケンティウス3世(1198-1216)など、同時代のローマ教皇の文書も収集を進めた。 それらの史資料をも利用した研究の成果として、2014年度にはスペイン(バルセロナ大学)の学術雑誌に同時代のバルセロナ伯領に関するスペイン語論文を1点掲載することが出来、2015年度にはケンブリッジで出版された英語書籍にバルセロナ伯領の再植民に関する英語論文を1点掲載し、また、チリで開催された国際学術会議でアラゴン連合王国とローマ教皇の関係に関する報告を行うことが出来た。2016年度には単著『レコンキスタと国家形成』を九州大学出版会より出版し、学術雑誌『歴史と地理』に論文を1点掲載し、また、九州史学会大会において、イベリア半島と教皇の関係に関する報告を行うことが出来た。
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Research Products
(3 results)