2016 Fiscal Year Research-status Report
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26770263
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Research Institution | Otemae University |
Principal Investigator |
西岡 健司 大手前大学, 総合文化学部, 准教授 (70580439)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 中世スコットランド / カーチュラリ / 証書 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、第一に昨年度に写本調査を実施した5つの修道院(メルローズ、ニューバトル、スクーン、バルメリノ、ダンファームリン)のカーチュラリについて、分析を進めた。 具体的な作業としては、折帳の構成や筆跡の分析などを通してカーチュラリの作成過程を可能な限り再現すると同時に、オリジナルの証書とカーチュラリのコピーとをひとつひとつ照らし合わせ、カーチュラリの複写の特徴(とくに複写の正確性)について整理を進めている。さらに、カーチュラリに複写された証書の割合や、複写の際におこなわれた選別の方法、あるいは、証書の配列の仕方など、カーチュラリの内容や構成に関する分析をおこない、カーチュラリの機能や作成の意図について検討している。 とくにメルローズ修道院に関しては、時期の異なる二つのカーチュラリに加えて、オリジナルの証書が多数現存していることから、重点的に検討を加えている。その際、より詳細な分析を可能とする補助資料として、メルローズ修道院証書の原本の伝承過程に関する資料や、後代におけるカーチュラリの複数の筆写について、スコットランド国立文書館や国立図書館で綿密に追加の調査をおこなった。 未調査のカーチュラリの写本に関しては、スコットランド国立図書館において、ケルソー修道院(Adv.Ms.34.5.1)、アバディーン司教座教会(Adv.Ms.16.1.10)、およびマリ司教座教会(Adv.Ms.34.4.10)のカーチュラリについて新たに調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
写本の調査に関しては、おおむね計画通りに進行している。 分析作業に関しては、当初予定していた以上にメルローズに重点的に時間と労力を費やしているが、成果を見込んだ妥当な変更と考える。他のカーチュラリを含めた全般的な分析についても、最低限の作業は進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
写本の調査が終了しているカーチュラリの分析を継続的に進める。 本年度も夏期に渡英し、残りのカーチュラリの写本の調査を実施する。 詳細な事例研究としてメルローズ修道院のカーチュラリの分析結果をまとめると同時に、中世盛期のスコットランドのカーチュラリの全般的な傾向についても整理する。
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Causes of Carryover |
総額として海外調査費が十分ではなかったため、初年度の渡英を見送り、2年度以降に分割して使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度の海外調査費として使用する。
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