2016 Fiscal Year Annual Research Report
An Archaeological Approach to the Studies on Pre-modern Tsunami Earthquakes on the Sanriku Coast
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26770264
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
齋藤 瑞穂 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 助教 (60583755)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 歴史地震 / 津波 / 聞き取り調査 / 民族考古学 / 縄文三陸地震 / 弥生三陸地震 / 貞観地震 / 明治三陸地震津波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,これまでに蓄積されている発掘調査データの徹底見直しと精査を通じて,前近代に発生した地震津波の規模とその影響の実態把握をめざした。最終年度は,岩手県山田町教育委員会・山田史談会の協力のもと,縄文三陸地震津波の実態を反映していると目される川端弘行コレクションの整理を実施した。同コレクションは,山田町川半貝塚で収集された資料であり,縄文時代前期~晩期,弥生時代後期の資料を含む。三陸地震津波の発生時に影響を受ける位置に立地しているが,これまで得られている情報は断片的で,防災・減災考古学的な情報は十分ではなかった。そこで今年度,資料の整理をすすめ,分類作業を行うことによって,集落形成の活発な時期と低調な時期といった様子がある程度把握することができている。本年度以降,引き続き作業を実施したい。 また,本年度は,昨年度までに指摘した,縄文・弥生・貞観の津波発生直後にみられる一斉的な集落移動について,津波の後に漁撈民は実際どの程度移動するのか,どの程度の被害があれば移動を行うのか,民族考古学的なアプローチを試みた。すなわち,先掲の川半貝塚のある山田町大浦集落において聞き取り調査を実施し,「明治二十九年海嘯被害戸口調査表(大浦)」に記載されている生存者はどの家の先祖か,今の家屋は元からそこにあったか,動いたという話を上の世代から聞いてきいていないか,の2点を質問した。結果,明治三陸地震の被災範囲と,移転状況の復原に成功した。流失し,死亡者が出た場合であっても,最低限度の移動にとどまり,考古学で得られている移動状況とも極めて調和的な結果が得られた。
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Research Products
(3 results)