2016 Fiscal Year Research-status Report
西北インドにおける仏教文化の展開過程に関する考古学的研究
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26770266
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内記 理 京都大学, 文化財総合研究センター, 助教 (90726233)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ガンダーラ / 考古学 / クシャーン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、これまでの研究成果の公表に努めるとともに、海外での資料調査をおこなった。 まず、7月には、イギリス・ウェールズのカーディフ大学で開催された国際学会European Association for South Asian Archaeology and Artの第23回大会に参加した。The chronological order of the Gandharan sculptures with inscriptions including dates.と題して、英語による口頭発表をおこなった。なお、この学会で発表した内容は英文による論文としてまとめ、2月に同学会の雑誌に投稿済みである。 このカーディフでの学会の後、イギリス・ロンドンに滞在し、大英博物館およびヴィクトリア&アルバート美術館において南アジアおよび中央アジアの考古資料を調査した。とくに、中央アジアで紀元後500年前後に活躍したクシャノ・サーサーンの発行した、特徴的な金貨を実見する機会が得られた点は、クシャーン以後の中央アジア史を概観する上で重要である。また、ロンドン滞在後には、オーストリアのウィーンを訪れ、かつての指導教官や同僚との意見交換をおこなった。同時に、ウィーン大学やオーストリア科学アカデミー、美術史博物館を訪れ、新出の研究関連書籍などの情報を確認した。 12月には中国・北京の中国人民大学が開催した国際シンポジウムThe Second Oriental Renaissanceに招待され、参加した。このシンポジウムでは、Four Gandharan Sculptures with Inscriptions Including Dates.と題して英語による研究発表をおこなった。なお、12月の北京渡航の際には、中央美術学院において現地の学生向けの講義もおこなった。 今年度の現地調査として、9月に中国の甘粛省南部の石窟寺院の調査に参加した。ガンダーラ彫刻にみられる仏教図像が、中国に伝わった後にどのような展開をみせるかを検討するために必要なデータが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画当初に予定していた、海外における資料調査の実施状況も順調である。 研究成果の公表にかかわっては、国際学会や国際シンポジウムに積極的に参加することで、国内だけでなく国外の研究者と活発な意見交換がおこなえている。 以上から、研究がおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に実現したパキスタン渡航は、今年度は実現しなかった。治安面を考慮してのことである。今後も、簡単に現地に渡航できるとは思われない。しばらくは、当初の予定通り、日本やヨーロッパ、インドなど、治安面に不安のない国における研究機関で保管される遺物資料の調査に専念せざるを得ないであろう。
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Research Products
(3 results)