2014 Fiscal Year Research-status Report
土器の接合痕からみた縄文時代の集団動態に関する研究
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26770267
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Research Institution | Akita International University |
Principal Investigator |
根岸 洋 国際教養大学, 公私立大学の部局等, 助教 (20726640)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 土器の接合痕 / 縄文時代 / 民族考古学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、縄文土器にみられる「粘土紐の接合痕」という技術的要素に着目することによって、縄文時代の集団動態について復元することである。「粘土紐の接合痕」を人間集団の動きを反映する規定的要素とみなす民族考古学的視点に立つことで、縄文土器を取り扱う考古学的研究に民族調査も併せて実施した。平成26年度は以下の3項目に分けて研究を実施した。 (a)縄文土器の接合法の記録調査:検討対象である縄文時代中期後半~後期初頭の土器群のうち青森県の出土事例について、肉眼および金属顕微鏡を用いて観察記録を行い、基礎データを蓄積した。青森県の分析事例では、二枚橋(1)遺跡、山田(2)遺跡、水上(2)遺跡等から出土した土器群の観察を行った。 (b)型式学的検討と胎土分析:検討対象である土器群のデータベース作成を実施するとともに、型式学的検討を実施した。後者については研究協力者とともに資料調査を実施した。このうちの研究成果の一部については、口頭発表(根岸2014、2015)および報告書への執筆(根岸2015)を行った。胎土分析については、分析に適した資料の収集を行ったほか、分析を担当する研究協力者との打ち合わせを実施した。 (c)接合法に関する民族調査:2015年3月にパプア・ニューギニア独立国ミルンベイ州にて民族調査を実施し、土器の接合法に関わる民族誌について調査研究を行った。この結果、本研究目を遂行するために、対象範囲を広げての追加調査が必要であることが判明した。研究成果の一部については口頭発表を行った(根岸2014)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に従い、考古遺物の基礎的データの収集と分析を行う(a)縄文土器の接合法の記録調査と、(b)型式学的検討と胎土分析の2項目を実施したほか、(c)接合法に関する民族調査も実施できたことから、研究計画はおおむね順調に推移していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施項目ごとに記述する。 (a)縄文土器の接合法の記録調査:秋田県・岩手県分の調査を実施し、分析結果を学術論文として報告する。本項目の実施にあたっては、昨年度に引き続き出張調査と顕微鏡観察を行う必要がある。 (b)型式学的検討と胎土分析:型式学的検討を引き続き実施し、年度内に学術論文として報告する。ただし土器の年代決定にあたって、放射性炭素年代測定を併せて実施する必要がある。胎土分析については、研究協力者に依頼して実施する。 (c)接合法に関する民族調査:異系統の土器製作技術を持つ製作者からの聞き取り調査を追加で行う必要があるため、8月にパプア・ニューギニア独立国にて実施する。調査結果については学術論文の形で報告するとともに、(a)・(b)の研究項目の報告に活用することとする。
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Causes of Carryover |
当初計画していた胎土分析と、人件費を伴うデータベース作成作業を、研究計画全体の進展に合わせて、次年度に繰り越したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
胎土分析とデータベース作成作業を次年度に行うこととする。
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