2017 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment and development the provenance analysis of archaeological obsidian artifact in Japan
Project/Area Number |
26770270
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
隅田 祥光 長崎大学, 教育学部, 准教授 (80413920)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 黒曜石 / 原産地判別 / 蛍光X線分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は,まず,研究計画にあった原産地解析システム(ハードウェア)を確立させることを目標に,信州霧ヶ峰地域,隠岐島後地域についての黒曜石原産地試料のパッケージ化と,定量分析値の公表を行った。同時に,信州霧ヶ峰地域については定性分析法による原産地解析システムを確立し,Suda et al.(2018)QI,土屋・隅田(2018)にて,その最終結果を公表した。特に,霧ヶ峰地域の広原遺跡群からの発掘試料を1000点以上,分析を行い,それらの原産地判別結果に基づいて,具体的な考古学的な成果が公表され,この原産地解析システムの大きな目的の一つを果たすことができた。 さらに,隠岐島後については,新たな取り組みとして,半定量分析法による原産地解析システムを確立し,今後,国際学会の場で公表する予定にある。また,同時に,長崎県埋蔵文化財センターとの共同研究として,九州地域の黒曜石原産地判別法のシステム化を行い,この結果についても,H30年度中に公表する予定である。 また研究計画にあった,この判別システムを黒曜石原産地の原石試料とともにパッケージ化し,共有化していく取り組みについては,北海道白滝地域については,Suda et al. (2018)JRS:Repにて公表を行った。一方で,信州霧ヶ峰地域,隠岐島後地域のものについては,計画年度内に完了させることができず,今後の課題として残された。 黒曜石の原産地判別という手法が考古学の研究において,大きな情報源になり得る限り,このような研究に対して継続的に取り組むことが重要であろう。
|