2014 Fiscal Year Research-status Report
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26770298
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| Research Institution | Kyoto University of Art and Design |
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Principal Investigator |
加藤 睦(山口睦) 京都造形芸術大学, 芸術学部, 非常勤講師 (70547702)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | 災害支援 / 贈与行為 / 人類学的研究 / 慰問袋 / 東日本大震災 / バレンタインデー |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近代日本社会で贈与行為が災害支援において果たした役割を、災害被災者に対する慰問袋、東日本大震災の寄付行為、バレンタインデーという3つの事例の分析から明らかにするものである。20世紀の日本社会において災害支援として行われた贈り物の事例を検討し、災害支援において贈与が果たした役割を明らかにすることにより、近代日本社会における寄付などの公的贈与の領域の特質が明らかになると考える。
初年度となる平成26年度は、主に災害被災者に対する慰問袋の贈与に関する分析を行った。慰問袋とは、20世紀前半の日本社会において、前線の兵士を慰めるために銃後の国民が手拭などで作った巾着袋に日用品、手紙、子どもの工作などを入れ、贈ったものである。本研究では、20世紀前半の日本社会において従来兵士に贈るとされていた慰問袋の、軍事用以外の用途である、社会的弱者や災害被災者への贈与行為について検討した。贈与対象者、贈与者、中身、形式、募集方法、輸送方法、配布方法、動機などについて、兵士に対する慰問袋との比較を通して分析した。主な資料として、慰問袋についての新聞記事（朝日新聞、読売新聞）、婦人団体の会報を使用した。
結論として、20世紀前半の日本社会において、1914年の東北九州災害、1923年の関東大震災、1934年の関西風水害と各年代において災害支援としての慰問袋のブームがあり、従来指摘された義援金、食料や品物（衣類、日用品）に加えて慰問袋という三種類の支援が確立していたことが明らかになった。また、慰問袋の募集方法について、贈与者が自ら慰問袋を作成、もしくは調達して贈る〈慰問袋寄付型〉と、媒介となる団体（新聞社や自治体、企業など）に慰問袋の購入代金を寄付する〈代金寄付型〉の2つが確認できた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の3つの柱となる、①災害支援としての慰問袋、②東日本大震災における贈与、③バレンタインデーの転換のうち、初年度は①について研究遂行が順調に行われた。①について学会発表、論文作成、投稿を行った。
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| Strategy for Future Research Activity |
次年度においては、初年度の成果を踏まえて現代の災害支援の調査、分析に入る。第一に、東日本大震災における災害支援として「贈り物」が果たした役割を分析する。具体的な事例として、阪神大震災の遺族らがつくる神戸市の認定NPO法人「1・17希望の灯り」は、「タスキ・プロジェクト」と銘打って自分と同じ世代、同じ背丈の大切な友人を思い浮かべ、支援グッズを一つの袋にいれてプレゼントしたという。20世紀前半の日本社会において、災害支援として行われていた慰問袋の贈与と比較しつつ検討する。
第二に、贈与行為の転換事例として、バレンタインデーを取り上げる。本来、私的な情緒的関係を表すバレンタインデーが、社会的弱者など不特定多数の他者への寄付的行為に転換されるシステムを検討する。バレンタインデーを寄付行為へと転換している福祉団体、企業へのインタビュー調査を行う。NPO法人「日本イラク医療支援ネットワーク」は、イラクの子どもたちへの医療支援を行っており、「限りなき義理の愛大作戦」として募金500円につきチョコを1箱贈っている。
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| Causes of Carryover |
初年度に予定していた調査が日程調整の都合上出来ないものがあり、次年度に行うため繰越となった。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
東日本大震災の支援を行った神戸のNPOの調査を行う。また、岩手県でその支援を受けた人々に調査を行う。
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Research Products
(3 results)
