2016 Fiscal Year Annual Research Report
Formation Process of the Intra-regional Variety in Subsistence Activities: A Case Study of the Hmong Hillside Villages in Continental Southeast Asia
Project/Area Number |
26770301
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
中井 信介 佐賀大学, 農学部, 准教授 (90507500)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 生業 / 域内多様度 / 定住化 / 専業化 / モン族 / タイ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、東南アジア大陸部における農耕民モン(Hmong)を事例に、彼らの生業の域内多様度とその形成過程を明らかにすることである。具体的にはタイ北部ナーン県における域内モン村落のフィールド調査資料を中心に、タイ国内の他県やラオス北部のモン村落の事例をあわせて比較検討することから課題に取り組んだ。2016年度は3年間の研究期間の最終年度にあたり、研究実施計画に沿ってフィールドでの補足調査を2016年9月に行ったほか、調査データの整理および研究成果のとりまとめを行った。 本研究では、ある地域に分布する民族における生業の多様性の存在は前提として、多様性の程度の形成過程を主題化している。本研究で新たに調査地として設定したペッチャブーン県の事例では、大型精米機の導入により大量に発生する米ぬかを餌に利用した、豚の大規模飼育が一部の世帯で行われていることを確認した。この事例では1980年代半ばの定住化後、1990年代後半から精米機が導入されて、しだいに従来からの自給的な飼育は一般に行われなくなり、2010年代半ばには飼育が一部の世帯により専業的に行われるように変化した。本研究から、生業の多様化のごく一端であるが、定住化の進展と資本の蓄積、そして機械導入による餌資源調達の効率化と家畜飼育の専業化、これらの関連性が示唆された。この事例検討を含む成果は、日本地理学会2017年春季学術大会(2017年3月、筑波大学)において報告した。
|
Research Products
(5 results)