2016 Fiscal Year Annual Research Report
The comparative law study on the gender structure of the family law in China
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26780001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
李 妍淑 北海道大学, 法学研究科, 講師 (90635129)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 家族法 / ジェンダー / 比較法 / 中国 / 韓国 / 台湾 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで本研究で構築した研究環境と人的ネットワークを活用し、中国・台湾・韓国の家族法制度全般に関する文献資料の収集やインタビュー、学会での意見交換を通じて、中国家族法におけるジェンダー構造の特徴の抽出に努めた。 第一に、性的マイノリティの法整備に関しては、家族法制度への抜本的な改革が行われている諸外国に比べて、中国ではそういった議論が今なお薄いのが現状であった。第二に、国の計画出産政策に関する規定が婚姻法によって義務化され、婚姻法が国の政策という価値観を推し進める手段としても利用されていると考えられる。第三に、婚姻法には家族構成員間の扶養義務が規定され、ここからは共同体としての家族の「孝」という伝統的な道徳観念を復活させ、儒教的家族観を法によって保持しようとする狙いも窺える。第四に、女性への特別保護に関する規定が婚姻法の随所で確認された。このように中国では、家族という親密領域においても、いまだトップダウン式の保守的な法実践が行われている点で、諸外国と大きく異なっていることが確かめられた。 なお、文献資料としては主に書籍や電子ジャーナル、所属機関のデータベースを中心に利用し、インタビューについては各地で開催された学会や研究会への参加を兼ねて、中国・台湾、韓国の専門家を対象に効率的に行った。前半は日本女性学会(6月)、後半は亜細亜女性法学会(10月)、新・アジア三国家族法会議(11月)、アジア諸国の親子法制度シンポジウム(2017年2月)に参加し、十分な意見交換とともに、人的ネットワークの形成にも努めた。 また、本研究に関係する隣接分野の学会参加を通じて、本研究に必要な情報収集も行った。例えば、現代中国法研究会(9月)、ジェンダー法学会(12月)等では、学会における国内外の家族法制度に関する動向をある程度把握することができ、それを本研究にフィードバックすることができた。
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