2015 Fiscal Year Research-status Report
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26780003
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
粟辻 悠 関西大学, 法学部, 助教 (50710597)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ローマ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
年度の初めに、ローマ帝政後期の法廷実務において重要な人的ファクターである弁護人について、その組織体である弁護人団体における組織原理(年功序列)を検討した論考を公表した(形式上の出版日は2015年3月30日となっているが、実際に公表されたのは2015年度に入ってからである)。この論考は、当時の社会における弁護人の位置づけを解明し、その活動に対する同時代人のまなざしを知る一助となるものである。 この論考に引き続いて、前年度からの継続した課題としてレトリック(教育)の実務的意義について検討を進めた。その中間的な検討成果を携え、年度の後半には、西洋史研究会大会(11月)において、関係する分野に詳しい西洋史や西洋古典の専門家との間で、古代レトリックをテーマとする討論に参加した(2015年度西洋史研究会大会:共通論題「歴史とレトリック ‐古代地中海世界における虚構・真実・説得‐」)。なお、この討論については、『西洋史研究』誌上において2016年度に詳細な内容が公表される予定である。 また、年度末(3月)には、京都で開催されたローマ法研究会において、一年間の集大成として、本研究課題の中間的な研究成果を報告する機会を得た。表題を「古代レトリック再考―帝政後期における法廷実務の観点から」とし、内容的には先行研究の整理を中心としつつも、古代レトリックにおける法廷弁論教育として重要な模擬弁論(declamatio)を主要な史料として取り上げ、比較的詳細な検討を加えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
古代レトリックに関する研究が順調に進展し、論文としての公表も視野に入っている。一方で、古代レトリックに関する先行研究の錯綜ぶりや扱うべき重要史料の量はやや予想を超えているところがあり、パピルス文書に関する検討が遅れ気味となっている。そのため、当初の予定と比較すると古代レトリックそれ自体の検討に重心が移っていることになるが、本課題にかかる研究活動を全体として見れば、十分な進展を見せていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題も最終年度に入り、研究活動の成果を論文等の形で取りまとめ、公表することが必要不可欠な目標となる。具体的には、まず年度の前半に、2015年度の研究成果として最大のものである古代レトリックに関する検討について、大学の紀要にて論考を脱稿することを目指している。 それと並行して、既に収集し検討を進めているパピルス史料についてもさらに分析作業を進め、年度の後半には専門分野の近接する研究者が集まる学会・研究会(法制史学会の部会例会等)にて中間的な成果の報告を行い、年度末までには両分野について総合的な知見を得て、論考の形にまとめたいと考えている。
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Research Products
(2 results)