2016 Fiscal Year Annual Research Report
A comparative historical study of transparent taxation and its legal forms.
Project/Area Number |
26780007
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 啓之 北海道大学, 大学院法学研究科, 准教授 (60580397)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 租税法 / 組合 / 共同事業 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、まず、ドイツにおける人的会社の私法学的構成について、ドイツ民法典および商法典の起草過程から、1970年代の転換を経て、現在に至る議論の変遷を解明することで、ドイツ共同事業者課税に関する前提的理解を確認した。具体的には、ローマ法上純粋な債権法上の関係として理解されていた組合(societas)という法形態は、第二草案においてドイツ法上の修正を経ることで「合有」という法的構成を与えられたこと、これは、独立財産の創出と組合員間の相互的拘束と理解されていたこと、1972年、画期的な論文により、社員の人的結合である人的会社それ自体に権利能力があると理解されるに至ったことについて確認し、権利能力ある人的会社と法人格ある(広義の)社団との差異についても現在の標準的な理解を確認した。 また、共同事業者課税に関する解釈論上の諸問題について、特に1970年代以降における議論の変遷とその体系上の位置づけに留意しながら、人的会社の私法学的構成から前提とされるべき基本的な部分と、それに対して公平な課税という租税法上の目的により修正されるべき部分を区別することで、共同事業と法人事業の平等という要請と共同事業者と個人事業者の平等という異なる要請を抽出し、共同事業の利益について共同事業者の所得として課税するという法的制度を理解する上で、より精度の高い前提的な認識に到達した。 以上の成果はすべて、法学協会雑誌135巻8号以下における公表が予定されている。
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