2017 Fiscal Year Annual Research Report
Research on Valuation of Property in case of Disaster in Inheritance Tax Law
Project/Area Number |
26780010
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
稲村 健太郎 福島大学, 経済経営学類, 准教授 (70707827)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 相続税法 / 財産評価 / 災害 / 時価 / ドイツ |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度において、PwCドイツに所属する実務家を招いて講演会と研究会を行った。これによりドイツ租税法実務の現状と課題について知見を得ることができた。また、わが国の相続税法における土地の評価について、最高裁平成29年2月28日判決の判例研究を行い、研究会で報告した。この判決は相続税法における時価の解釈と財産評価基本通達の関係を考えるうえでも重要性を有するものであると考えられる。 研究期間全体を通じてみると、①相続税法における日本とドイツの財産評価について、基本書やコンメンタールにあたるとともに、重要と思われる裁判例について判決文や評釈、論文等を分析した結果、原則として相続後の財産価値の下落を考慮しないという共通点があることが明らかになり、また、不可抗力による価値の下落について、立法による解決を図るべきとの議論が双方にあることがわかった。不可抗力による価値下落を認めないことは、ドイツにおいては憲法上の問題があることも指摘されており、日本においては、一定の大規模災害の場合にのみ評価期日の特例が認められている点などについて理論的視点からの問題提起がなされていることなどについて、研究会発表と論稿執筆・公表を行った。そして②ドイツ租税法研究者及び実務家との議論を通じて、ドイツ相続・贈与税法における災害時の財産評価に関する基本的な考え方と実務の現状と課題について知見を得ることができた。また、③わが国における土地の評価に関する最高裁判所判決の判例研究を行い研究会で報告した。これにより相続税法における時価の解釈と財産評価基本通達の関係についてあらためて考える機会を得ることができた。
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Research Products
(1 results)