2014 Fiscal Year Research-status Report
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26780024
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤澤 尚江 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (60533750)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 金融商品取引法 / 法の適用関係 / 民事責任 / 英国 / 米国 / Rome II |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)欧州の法制に関する文献による調査:Rome II に関する文献・立法資料等を収集・分析し、証券取引規制上の民事責任に関する議論の状況を整理し、「国際私法の問題」と考える見解、「適用範囲の問題」と考える見解のそれぞれの論拠を明らかにしようと努めた。また、「国際私法の問題」か「適用範囲の問題」かの判断をするためには、問題となる規定の趣旨・目的等が重要である。そのため、具体的に適用関係が問題となるであろう透明性指令(Transparency Directive)7条および目論見書指令(Prospectus Directive)6条等の民事責任の実質法上の規定についても調査を行った。事前調査によれば、英国からの意見が、Rome II においての当該民事責任に関する議論に大きな影響を与えていたことがわかった。そこで、以上の調査は、英国を中心に行った。 (2) 研究会参加による情報収集・意見交換:欧州国際私法研究会、関西国際私法研究会、国際私法フォーラム等、本研究と関連の深い研究会へ参加し、情報収集および意見交換を行った。広く意見交換をすることで、文献等から得た知識を補完し、より一層の理解を深めることができた。 (3)米国法に関する資料のアップデート:米国法の文献については、一定程度の収集はしているがアップデートの必要があった。本格的な検討は、欧州の分析と検討を終えてからのこととなるが、海外から文献を取り寄せるためにはかなりの時間を要する場合もあるため、文献のアップデートは欧州の研究と並行して行い、早い時期に発注を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、文献・立法資料等から発見された問題点・疑問点の解消と資料の補充のため、休業期間を利用して英国でのインタビューまたは学会・シンポジウム等への参加による情報収集および資料収集を行うことまで考えていた。しかし、スケジュール等の問題でこれが果たせなかった。 平成26年度の旅費が余っているのはこのためであり、平成27年度に補完することを予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)平成26 年度からの継続事項: 第1に、より本格的に、米国法に関する資料を収集し、分析する。第2に、関連する研究会へ参加し、意見交換・調査研究を行う。第3に、欧州に関する資料のアップデートをする。 (2) 米国法に関する文献による調査:米国法に関する文献・立法資料等を収集・分析し、米国法において、証券取引法上の民事責任の問題が「適用範囲の問題」として扱われる理由、およびその「適用範囲」を明らかにする。後者の「適用範囲」に関し、Morrison 判決までの米国の判例については、拙稿「米国証券取引法と域外適用-Morrison 判決を中心に」において、一定程度の調査を進めている。従って、Morrison判決以降、米国の下級審が具体的な事案にMorrison 判決をどのように適用しているかという点を中心に研究を進める。 (3)英国・米国等での情報収集:文献・資料等から発見された問題点・疑問点の解消と資料の補充のため、英国・米国等でのインタビューまたはシンポジウム・学会等への参加による情報収集および資料収集とを行う。 (4) 比較法的考察:上述の欧州および米国に関する調査をまとめ、欧州・米国の状況と比較しながら、①金商法上の民事責任は、「適用範囲の問題」と扱うべきか「国際私法の問題」と扱うべきか?、②「適用範囲の問題」であるとすればその適用範囲はいかなるものか、「国際私法の問題」であるとすればいずれの国の法が適用されるのか?を明らかにする。 (5)研究会報告・論文執筆 以上により得られた成果をまとめ、関連する研究会で報告を行う。研究会で得られるであろう指摘により、問題点をより明確にすることを目的とする。研究会でのコメントを受けて、論文を完成させる。完成した論文は、専門誌・応募者の所属する研究機関紀要等に公表する。
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Causes of Carryover |
平成26年度には、文献・立法資料等から発見された問題点・疑問点の解消と資料の補充のため、休業期間を利用して英国でのインタビューまたは学会・シンポジウム等への参加による情報収集および資料収集を行うことを予定していた。しかしながら、スケジュールの問題等でこれが果たせなかった。次年度使用額が生じたのはこのためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度において、平成26年度に果たせなかった英国等でのインタビューまたは学会・シンポジウム等への参加を行うことで、平成26年度分から生じた分を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)