2015 Fiscal Year Research-status Report
海上安全保障の国際法:海洋における人間の安全保障の実現に向けて
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26780027
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
小島 千枝 武蔵野大学, 法学部, 准教授 (90711200)
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Project Period (FY) |
2015-03-01 – 2018-03-31
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Keywords | 国際法 / 海上安全保障 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、(1)現代の海上安全保障問題を人間の安全保障の観点から捉え直すこと、(2)海上安全保障に関わる事例の分析を通じて、「海上安全保障の国際法」における国際人権法の適用について明らかにすること、及び(3)「海上安全保障の国際法」の履行における国家主体と非国家主体の連携事例を収集し、その国際法上の意義について包括的に分析することである。産前産後の休暇又は育児休業による中断(平成26年07月22日~平成27年09月14日)により、本研究は平成27年度9月15日より開始した。平成27年度は、国連文書や海上安全保障に関する著作を分析することにより、海上安全保障概念の人間の安全保障・人類の共通利益との関連性について検証を進めた。とりわけ、ボート・ピープルや気候変動による海面上昇などの海洋における現代的課題が、安全保障の概念とどのように結びつけられるかについて研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、人間の安全保障に関わる海上安全保障問題の事例研究を行った。海上安全保障の概念には、領土保全や政治的独立といった国家主権にかかわる伝統的な安全保障概念だけでなく、海上犯罪(海賊行為、武装強盗、テロリズム、人身取引、麻薬取引など)の防止、海洋汚染の防止、海洋生物資源の保存、海上避難民の保護など、人間の安全保障に関わる非伝統的な海上安全保障問題が含まれる。 平成27年度は、これらの非伝統的な海上安全保障事例の検証を進めるとともに、海洋における国際人権法の適用問題への足がかりとして、ボート・ピープルに 関連する国際判例及び米国・欧州・オーストラリアにおける国内判例や国内立法を収集し、現状の整理と分析を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、非伝統的な海上安全保障事例における各国の国内裁判所・国際裁判所による国連海洋法条約および関連する国際法の解釈・適用を調査・分析することにより、海洋とりわけ国家管轄権が及ばない海域における国際人権法や国際環境法の適用について明らかにする。平行して、海上安全保障問題における民営化(privatization)事例を収集し、それが如何に海洋法の国家による履行に寄与しているかについて分析する。平成28年度には、本研究の成果の一部を、①第4回アジア太平洋海洋法研究所合同国際会議、②日本国際法学会、アメリカ国際法学会、カナダ国際法学会、オーストラリア・ニュージーランド国際法学会共催の第6回4学会国際会議、および③ヨーロッパ国際法学会主催の第12回国際会議にて、それぞれ報告する予定となっている。
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Causes of Carryover |
平成26年7月22日から平成27年9月14日まで産前産後の休暇および育児休業により研究を中断していたため、本研究は平成27年9月15日より開始した。平成27年度の研究期間が半分に短縮されたことにより、海外における調査研究を実施することができず、そのための予算が次年度に繰り越されることになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、すでに①アジア太平洋海洋法研究所合同国際会議、②第6回4学会国際会議(日本国際法学会、アメリカ国際法学会、カナダ国際法学会、オーストラリア・ニュージーランド国際法学会共催)、③ヨーロッパ国際法学会第12回国際会議にて、研究発表を行うことが確定している。また、オーストラリアにおける調査研究を実施する予定である。
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Research Products
(2 results)