2019 Fiscal Year Annual Research Report
International Law of Maritime Security: Towards the Realization of Human Secuirty at Sea
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26780027
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
小島 千枝 中央大学, 法学部, 教授 (90711200)
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Project Period (FY) |
2015-03-01 – 2020-03-31
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Keywords | 人間の安全保障 / 国際法 / 海洋法 / 海上法執行 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は,海上の人身取引や強制労働などの現代奴隷行為が疑われる船舶に対する沿岸国・寄港国・旗国による執行管轄権にかかわる各国の立法例を調査・研究したほか,新しい問題として,海の騒音問題や海洋再生可能エネルギーの推進が国連海洋法条約との関係においてどのように分析できるかについて研究した。現代奴隷行為と海洋法に関する研究成果は,第8回海洋法ガバナンス国際シンポジウム(於大連)において報告した。海の騒音問題と海洋法に関する研究成果は,インディアナ大学とハンブルク大学共催の国際シンポジウム(於ハンブルク)および中央大学国際関係法研究会において報告した。海洋再生エネルギーと海洋法に関する研究成果は,今後論文として出版する予定である。 本研究課題は,現代の海上安全保障問題を,従来の国家の安全保障という観点に加えて,人間の安全保障の観点から捉え直し検討するものである。とりわけ,ますます増加する国境を越える個人の活動やグローバルな環境問題によって引き起こされる非伝統的な海上安全保障への脅威について調査・分析した。これらの事例を素材として,国連海洋法条約を国際環境法や国際人権法等の関連する国際法に照らして発展的に解釈することの意義について議論した。また,海洋における人間の安全保障の実現に向けて,市民社会を巻き込んだ国際法の履行の仕組みを構築することの有用性について検討した。
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