2014 Fiscal Year Research-status Report
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26780036
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
柳澤 武 名城大学, 法学部, 教授 (70363306)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 年齢差別 / エイジズム / 労働法 / 高齢化社会 / ネオ・ジェロントロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
アメリカの労働者の引退過程について、ADEAがどのように関わり、かつ、いかなる影響を与えたのかについて、これまでとは異なる観点から、主に法政策としての側面に着目しながら分析した。また、偏見や差別としてのエイジズムについて、どのような理解と位置づけがなされるようになったのか、ネオ・ジェロントロジー(新老年学)の知見もふまえながら検討し、日本の高年齢者雇用政策の方向性について考察した。 とりわけ重要なのは、年齢差別禁止法は、あくまで「差別」禁止法であり、同法についての議論を行う際には、年齢の特質やエイジズムに関する研究の発展にも十分に留意すべきであろう。近年の研究では、「エイジズムとは、特定の年齢層に対する、否定的あるいは肯定的な偏見・差別である」と、その両面性と構造が示されている また、エイジズム研究の延長線上にありつつ、現在注目されているネオ・ジェロントロジー研究の成果では、身近なマスメディアや誕生日カードなどに、高年齢者や加齢に対する否定的な内容が多々含まれており(例:物忘れや、性的不能をネタにする)、これらの環境的な要因もエイジズムを強化していると指摘している。 さらに、統計的差別モデルによって、その選択を行う真の原因がどこにあるにしても、企業にとっては単一の指標(年齢)を用いて選別を行うことが、統計的には合理的ということになる点については、ソフトロー的な観点からの規制が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究者へのヒアリングは実施できなかったが、研究スタートのための準備、研究のための基礎資料の蒐集は順調であった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、関係機関へのヒアリングなどを行い、関連する文献の購入も進めたい。
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Causes of Carryover |
消耗品について、予定よりも安価に手に入れられたものがあったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度は、この分を消耗品に該当させる予定である。
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